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  • 07/22/2007 (11:58 pm)

    国鉄と社会保険庁に見る組合問題への対処の相違

    Filed under: economy, government, politics ::

    を読んで思ったよしなしごとをば。

    このエントリにおいて、potato_gnocchiさんは社会保険庁の組合問題について論じられているわけですが、公的セクターの組合問題への対処として、おそらくこれまでもっとも大仕掛けのものは国鉄の分割・民営化でしたでしょうし、現に社会保険庁について、組合問題の文脈で、国鉄と対比して論ずるようなものも散見されます。公務(現業)・組合と共通項がそろっているわけですから、対比には格好であるのも事実ですが、webmasterには、両者は大いに違った構造から出てきた話であるようにも見えます‐端的には、この問題は、安倍政権ならではの色彩が色濃い、ということとなります。

    安倍政権ならではの色彩とは、今国会でいえば教育関係の法改正は強行採決してでも通す一方、ホワイトカラーエグゼンプションはあっさりと継続審議にしてしまったことに明らかですが、「美しい国」系の話には非常に力が入る一方で、経済関係には冷淡であるということです。ネットなどでは、安倍政権は財界の言うがままといった評価もありますが、確かに経済財政諮問会議ではその手の議論があるものの、諮問会議自体、小泉政権下に比べれば存在感がなくなってきているわけですから、政権内でのウェイトでいえば下がっていることは間違いありません。

    国鉄に関して言えば、多大な税金が投入されていたわけですが、一般に財界(企業および経営者)は支払う税金が受け取る公共サービスの受益に比して高く、俗に言う小さな政府を志向することが合理的な対応となります。歳出が削られても失うものが少ない一方で、見合いの歳入減少=税金の削減の効用は大きいのですから、削れる歳出はすべて削り、その分だけ税金をまけろ、というのが財界の変わらぬ希望となるわけです。したがって国鉄への税金投入をなくすことは財界にとっても大きな意義がありましたし、組合がその障害になるというのであれば、徹底的に叩くことも本望でしょう。

    他方で社会保険庁に関しては、世間的には組合がさまざまなムダを産んだという理解が支配的ですが、では組合のムダが徹底的に排除されたとしても、財界の負担がどれだけ減るというのでしょうか? 国民年金には1/3の国庫負担(今後1/2に引上げ)があり、厚生年金には1/2の使用者負担はありますが、それぞれの保険料率がムダの排除によって減る程度といえば、ほとんど誤差の範囲でしょう。だからこそ財界は、昨今の文脈における年金問題には冷淡ですし、労使対立のステレオタイプから組合叩きに熱心かといえば、まったくそのようなことはないと考えられるわけです(自治労は自分たちの被用者でもありませんし)。

    財界からすれば、組合問題とは、イデオロギー的な問題ではなく、すぐれてそろばん勘定の問題でしょう。したがって、そろばんに反映される組合問題には力を入れても、そうでない組合問題は、一般論として組合が弱くなることを嫌うわけはないにせよ、二の次・三の次であろうと考えられます。他方で安倍政権は、既述のように「美しい国」系の話には入れ込むわけで、社会保険庁の組合問題にせよ、その手の運動への敵対心が相当程度入っているであろうし、選挙を気にしてという要素が大きいことは否定しませんが、社会保険庁の民営化もまた国会にて高い優先順位が与えられたわけです。

    では、自らの利害に直結する話を後回しにして、そうでない話ばかりに血道を上げる(しかもその結果、政権支持率を上げているわけでもない)政権に対して、財界はどのような態度で望むものと考えられるでしょうか? そういえば、最近の日経は安倍政権叩きに注力しているとの観察がありましたが、日経がどういった者の主張をよく代弁するかといえば・・・。

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    17 Responses to “国鉄と社会保険庁に見る組合問題への対処の相違”

    1. wood Says:

      組合問題に関して言えば「御用組合」という存在が民間にはあるわけで、企業が組合を怖がっていないのは明白です。旧来の社会主義的な組織から改善できない組合は御用以外には存在利得が無いからです(存在価値は無いけど高級幹部が労働者から搾取を行っていると言う意味です、労働者の権利とは関係ない無駄な活動に力を入れているのはその典型でしょう)。
      よって企業にとっては労組は組し易い存在のはずであり、経営効率が組合によって下がるのは罷りならんと言うのが日経(及び経団連)の意見ではないでしょうか。

    2. webmaster Says:

      >woodさん
      高度経済成長期以降の組合が総じて協調的だったのは、バブル期までは順調なパイの拡大による取り分の増加が獲得できていたからでしょうし、バブル崩壊後は賃金の下方硬直性が手伝って高い労働分配率を維持していたからでしょう。となると、昨今は労働分配率が低下し、企業収益の伸びに比べて家計所得は伸び悩んでいますから、「御用組合」ではなくなるのかもしれないなぁとは思います。

    3. BUNTEN Says:

      >「美しい国」系の話には非常に力が入る一方で、経済関係には冷淡

      平和リフレの私的にはサイテー、っつー評価?orz
      だからって自民党はアカン、になるとは限らないのは山本幸三氏のような人もいるからですが(以下略)。

    4. Baatarismの溜息通信 Says:

      安倍政権はなぜ叩かれる?…

      参院選を次の週末に控えて、マスコミでは「失言」や「スキャンダル」を材料にした安倍政権への批判が、どんどんエスカレートしています。 ただ、安倍政権がそこまで悪い政権なの (more…)

    5. webmaster Says:

      >BUNTENさん
      といって、政党単位で見る限り、自民党以外でも条件を満たすところはないんですよねぇ・・・。

    6. Foch Says:

      レスが楽しみなのは麻布十番夢彦さん。待ち遠しい♪

    7. 西麻布夢彦 Says:

      お座敷がかかったので参りましたよ。

      とはいえ、大嫌いな法務部も兼任しなくちゃいけなくなったので、ここのところテンション上がらないけど……
      (こういうもんは勢いだから)

      > 「美しい国」系の話には非常に力が入る一方で、経済関係には冷淡

      ホワイトカラーエグゼンプションが、「あっさり」継続審議なのは、まあ、御○洗さんが、事務方に嫌われて、安倍さんも心中できないからですね。
      別に安倍さんが経済に冷淡なわけではないと思いますよ(経済が分からないという感じはしますが)

      ※んでも、ホワイトカラーエグゼンプションもサマータイムも霞ヶ関側から、財界提案にしてくれと要望があった案件だったような(ちがったかなぁ?)

      さて、気を取り直して

      > 削れる歳出はすべて削り、その分だけ税金をまけろ、というのが財界の変わらぬ希望となるわけです

      一般民間人も同じ希望じゃ!
      (ノ`Д´)ノ 彡┻━━┻

      もちろん福祉は「削れない歳出」なので削るとしたら……自○省あたりが余っているかな?かな?(地方国立大学も捨てがたい)

      問題は
      > 世間的には組合がさまざまなムダを産んだという理解が支配的ですが

      シャホチョウの問題は、詰まるところ「役人は事務処理すらできない」ということを露呈した、ということです。
      事務処理しか能のない役人が事務処理すらまともに出来ないなら、解体しようよ、というのは当然のことで、別に組合問題ではないでしょう?

      中川(ふとっちょ)が「社会保険庁の自爆テロだ」とか言ってますが、それは彼の責任転嫁で、単純な組合問題として考えている人は少ないでしょうね。
      (組合を無くしたら年金管理が上手くいきますか?)
      (彦麻呂じゃあるまいし、流行言葉を使えばいいってもんじゃないぞ)

      個人の意見を言えば、安倍さんは抵抗勢力に負けずシャホチョウを解体して立派です。(ただ、これで命数を使い果たしたので、お役ご免になるでしょうけど)

      だいたいね
      > では組合のムダが徹底的に排除されたとしても、財界の負担がどれだけ減るというのでしょうか?

      って、企業経営において、どれだけ年金の問題が重たいか、分かっているのでしょうか?
      企業も負担している上に各社年金基金を持っているのですよ。
      保険料を払ったら無関心なんてわけないでしょう?
      どんな無駄だって排除されることを望んでいますよ。
      (いいたかないけど、民間企業は乾いたぞうきんを絞るようなコストダウンを……くどくど……1円も無駄にしないように、工場の廊下の蛍光灯も減らして……ぶつぶつ)

      このことは税金も同じで、お役人は国民が納めた税金の重みが分からないのではないですか?

      ※今日は、どうも切れ味が悪くてすみません

    8. 西麻布夢彦 Says:

      あ、補足しておくと、日経が安倍政権に冷淡なのは、竹島(公正取引委員長)留任問題が原因だと思いますよ。
      さすがに、日経の中の人ではないので、深いところは知りませんけど。

    9. ゆーき Says:

      「美しい国」関連だけでなく、労働関係の法案(最低賃金とか残業代割り増し)もゴリ押ししておけば、「庶民」からの評価が違ったものになってたんではないかなあ、と思います。

      どっちつかずの対応として「何もしない」という対応をとった結果、両面からの政権非難になっているのではないかと。

      まあその労働関係の対処も斜め上のものが多かったのですが。

    10. Baatarism Says:

      >西麻布夢彦さん
      >あ、補足しておくと、日経が安倍政権に冷淡なのは、竹島(公正取引委員長)留任問題が原因だと思いますよ。

      それって、やはり特殊指定とか特殊指定とか特殊指定とかですか?w

      あと、安倍政権がマスコミに受けが悪い理由としては、TV局の不祥事に対する厳しい対応もあるでしょうね。

      そう考えると、官僚(公務員制度改革で)、財務省、財界、マスコミ、労働組合(特に日教組と自治労)と、安倍首相は敵を作りすぎてしまったのかもしれませんね。それにかみぽこさんが指摘するような敵への対処のまずさも手伝って、ここまで攻撃されてしまったのかもしれないですね。
      小泉前首相の、敵を分断して取り込むやり方とは対照的ですね。

    11. Baatarism Says:

      >西麻布夢彦さん

      西麻布さんと同じことを言っている記事を見つけました。これによるとナベツネが背後にいるそうです。
      http://www.gendaisangyojoho.co.jp/cgi-bin/backnumber.cg...

      特殊指定問題は以前に自分のブログでも取り上げていたので、今回の話もこっちでも取り上げようかなと思っています。こちらではちょうど安倍叩きに関する記事が人気になってますので。w

    12. koge Says:

      >> 削れる歳出はすべて削り、その分だけ税金をまけろ、というのが財界の変わらぬ希望となるわけです
      >一般民間人も同じ希望じゃ!
      せめて一般の前に「首都圏の」とか「都市部の」とかつけてもらえませんか?そりゃ「区」より人口の少ない県に住む人なんてもう「一般」じゃないのかもしれないけどさ(ぶつぶつ)

      >労働関係の法案(最低賃金とか残業代割り増し)もゴリ押ししておけば、「庶民」からの評価が違ったものになってたんではないかなあ
      いや、今の「庶民」にとって「労働者」はむしろ敵でしょう。なぜなら労働者の権利を拡大することは、自分たちの「お客様」という最強の地位を脅かすものですから。(仮に労働者の地位を向上させても経営者がその分を消費者に転嫁したら実質賃金は下がったと感じる人のほうが多いはずです)そういえば、東京のワーキングプアに、もし自分が将来成功を収めたら、かつての自分のように苦しんでいる人々にもその一部を分け与えたいかと聞いたらそれはいやだ、独り占めしたいと答える人ばっかりだったなんて話を聞いたことがあります。

    13. webmaster Says:

      >Fochさん
      >♪
      ↑とは、対岸の火事とお考えですね(笑)。

      >西麻布夢彦さん
      年収1,000万円だか2,000万円だかぐらいまでは、租税負担<行政サービス受益なので、徹底歳出削減路線だと受益の減が負担の減よりも大きくなり、反対する方が合理的対応だと思います。受益をもたらさない「ムダ」を減らせという話ではなく、お示しの例で言えば福祉なんかも減らせ、というのが高額所得者の要望でしょう。所得再分配で支払い超過なのですから、当たり前といえば当たり前ですが。

      保険料負担が企業にとって重要でないなんてことはまったく思っておりませんで、ただ社会保険庁の組織問題に深入りしたところで保険料負担の軽減にはほとんど改善せず、いわばコストパフォーマンスが悪いので無関心だ、ということを申し上げているわけです。社会保険庁に注いでいる政治的リソースを、もっと財界にとって実のある話に使ってほしいと彼/女らは思っているだろうなぁ、というだけなのですが・・・。

      >ゆーきさん
      労働関連制度改正は、ホワイトカラーエグゼンプションと一体ですから・・・。

      >Baatarismさん
      そういう意味では、安倍政権は(彼が志向する?)旧軍に奇妙に似通っているともいえますね(笑)。多正面作戦を行い、派手な戦闘を好んで地道な作業を厭う、等々。

      >kogeさん
      非正規雇用の拡大も、そうした傾向を助長しているのでしょうね。

    14. 西麻布夢彦 Says:

      > 年収1,000万円だか2,000万円だかぐらいまでは、租税負担<行政サービス受益なので

      まあ、大企業の重役の年収は、2,000万円を軸に分布していると考えて頂ければ、財界の雰囲気も分かって頂けると思います。
      (要するに「企業負担部分を減らしてくれればいいよ。企業と本人負担は折半だから、ついでに本人部分もね」という感じ)
      (税方式の方が望ましい。税は利益から払うので”調整”できるけど、社会負担は固定費だから)

      > というのが高額所得者の要望でしょう。

      高額所得者って、800万越えのことではなかったんだ……(へぇ)
      経団連の調査(主張)では、年収700万円越えは、給与所得者の上位20%になるんですよね。
      んで、2,000万円越えというのは、だいたい3%くらい。

      ということは、経営者も含めた国民のほとんどすべてが、高額所得者ではないわけですよ。

      すると、一体どこから低所得者福祉向けの財源を確保しているのかよく分からないのですが、きっと政府には江戸幕府から脈々と継承されてきた埋蔵金や国民の知らない油田があって、そこから補填されているのでしょう。(えー)

      ※現実には、年収800万程度の人が一方的に負担しているはずですが、どうなんでしょうね?(直感的には、600万円を境に負担が過大になっているのでは?)

      その意味では、ボクら庶民も「福祉なんかも減らせ」ってのが本音なんですけどね。

      児童福祉手当なんていらねぇよ!
      というか、「手当」系の福祉は不公正だと思います!(`・ω・´)つ
      (もらったことねぇ〜)

      でも、まあ、あまり「本音」を語って、新自由主義者と同じだと思われるのも癪なので、「国有財産を売って福祉を充実させろ!」と非現実的な主張をしておくことにします。(福祉には深入りしたくない)

      まあ、きっと、僕たち庶民が知らないところに、国有の天然ガス田があって、それで福祉は解決するに違いありませんよ。(うんうん)

      地下に金鉱が隠してある、くらい言ってくださいよ!(カツ・コバヤシ)
      ヽ(`Д´)ノ ウワアアン

    15. webmaster Says:

      >西麻布夢彦さん
      法人関連の諸税がありますから>一体どこから低所得者福祉向けの財源を確保しているのか

    16. potato_gnocchi Says:

      TBありがとうございます。お説ごもっとも、という感じです。結局は、労働組合活動も、経済活動全般に影響を与えない程度においては、自民党が選挙対策のためにかなりがんばっても世論のサポートを得られないし、逆に経済に悪影響を与えるような国労のような活動になれば、世論(この場合は財界の議論ですが)がしっかり叩きに回るものであろう、と理解しました。

      ただ、社会保険庁のガバナンスが利いていなかったのは、まさにその民主主義に内在する価値選択の問題を、個別の機関の運営の価値観に持ち込むことの是非、というのをどう考えるかという問題のような気がするので、なかなか難しい問題のような気がします。

      政府系金融機関を叩きながら外国の政府系投資機関を褒めそやす向きがいますが、どうもそういうガバナンスの問題を抜きに論じているあたりが、ちょっと浅いのかな、と思ったりしますが、どうなのでしょうか。

    17. webmaster Says:

      >potato_gnocchiさん
      ガヴァナンスに限った話ではありませんが、今でなければ今よりマシ、という理解なのだと思います。現状は最悪で、何らかの変更がなければ現状維持、であるならば変更が何であれ現状よりはよくなるのだ、ということなのでしょう。そこで瑣末なことを言い出すなんて、議論を錯綜させて現状維持を企む抵抗勢力の謀略だと思われているに違いありません(笑)。

      で、アクセスログはどうでしたか(笑)?

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