spambotはチューリングテストの夢を見るか?
前からブログをやってる人は皆感じていると思うが、トラックバックという機能の「価値」は、最近大きく変化している。電子メールがスパムメールの氾濫で通信手段としての価値を低下させたのと同じ理由で、スパムトラックバックがとんでもなく増えている。私の場合でいえば、どう低く見てもトラックバックの9割以上がスパムだ。
特に最近は、例の「在宅ビジネス」のための自動化ツールがどんどん出てきて、いくつもいくつもブログを立ち上げ、あちこちのブログなんかからフィードを集めて記事に仕立ててあちこちにトラックバックを飛ばしまくるところまで自動でやってしまう。こうなると、トラックバックがありがたいなんて思う度合いは大幅に下がってしまう。
もちろん、実際の記事をみれば自動化ツールだなとすぐわかるわけだが、記憶をたどれば、他の記事の抜粋とリンクからできてるウェブページなんてのは、ちょっと前までは人間様が嬉々として作ってたものなわけで(今でもそうやって作ってる情報系のサイトとかあるよねぇ)、せちがらくなったなとお嘆きの向きもあるかもしれない。この分だと、Googlezonじゃないけど、そのうちすぐにコメントやら感想やらまで自動生成するようになるね。
「ボットはネット世論の夢を見るか?」(@H-Yamaguchi.net8/14付)
現状、trackback spamは山口さんご指摘のとおり見ればわかる(どころか、フィルタでもかなりの確度ではじいてくれる)わけですが、「コメントやら感想やらまで自動生成するようになる」のであれば、それはチューリングテストをパスする過程における大きな一歩であるような気もします。現状から予想されるのは人工無脳なのでしょうけれども、商売になるならそこに技術的ブレイクスルーが生じるのは人の世の常、これまで研究として開発が進められていてメドが立っていない人工知能が、spamのために開発されたなんてことになったら、やっぱりそれは黒歴史として封印されてしまうのでしょうか(笑)。
チューリングテストをパスするspambotが開発されたとして、実は困るのはspam業者だったりします。チューリングテストにパスするのであれば、たとえばbloggerからはコメントがspambotによるものとはわからないのですから、実態を知れば大いに不幸なのでしょうけれども、知らなければ「今日もコメントがもらえた」と幸せなままでいられます。しかし、spambot同士がコメントをつけあってリンクを張りあっても、spam業者にとっては何の意味もありません。いろんなところにspamコメントを残したところで、spam同士では客寄せにならないのですから。
となると、チューリングテストにパスするspambotの次には、人間の判定員以上に厳格にチューリングテストの判定が可能なspambotの開発に進むでしょう。spambotが巡回して、このサイトは人間が運営しているわけではないと見破ればそこにはコメントせず、真に人間が運営しているものと判断した場合にのみコメントを残す、そんな機能の実装が行われるはずです。そうした機能が開発されれば、それを応用してコメントがspamかどうかを判断するblogger向けサービスが提供されるようになるでしょうから、さらに見破りにくいspambotが開発され、さらにそれを見破るspambotが開発され・・・。
#他方で、じゃあアクセスが少ないと悩んでいるblogger向けにspambotがコメントしてくれるサービス(をする場合、それを”spambot”と呼ぶのかは議論があるでしょうが)は成立するかといえば、それはしないだろうなぁというあたりは山形浩生さんの「ネットワークのオプション価値」をご覧いただければ。
