bewaad institute@kasumigaseki

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  • 08/21/2007 (11:59 pm)

    飯田泰之「歴史が教えるマネーの理論」

    Filed under: economics, book, history ::

    ありがたいことに当サイトをご紹介いただいております(p141)ので、お礼を兼ねまして(笑)。

    高校〜大学(教養)時代に読みたかったなぁ、としみじみ思います。というのも、昔から歴史は好きだったのですが、となると高校教科書の記述では物足りなくなり、もっと深い話を知りたいと思いつつ、なかなかいい本にめぐり合えず、やきもきしたことがあったから。大学時代にヨーロッパ政治史の講義にはまったのも同じ文脈で、これぞ大学、と感激したものです。

    本書はその経済学版で、近世ヨーロッパからヴィクトリア期のデフレ、幕末インフレに昭和恐慌といった題材を、マネーの理論を軸に明快に分析しており、高校教科書の世界史・日本史における通り一遍の記述で飽き足らぬ好奇心を、存分に満たしてくれます。内容の充実に平易な表現が両立しているので、高校生でも十分読み通せるはず。今の学生はこのような本を手に取ることができ、本当にうらやましいかぎりです。

    なお、飯田先生にご紹介いただいたのは管子について当サイトがとりあげたことがあるとの点においてですが、実はその部分は過去ログ倉庫、つまりは別サイトになっております。もしご関心の向きがいらっしゃいましたら、下記エントリをご参照いただければ幸いです。

    #当サイトを参考にしていただいたと記されていますが、webmasterなんぞの素人エントリより、田中秀臣先生、BJ38さん、すりらんかさんのコメントこそご参考になったであろうと確信いたしております。

    08/20/2007 (4:39 am)

    竹中先生はpainを甘受してgainできるのでしょうか?

    Filed under: economy, BOJ ::

     急激に円高が進んだことについては「日本経済は昨年以降、デフレのもとで日銀が金利を引き上げており、これがじわじわと効いている。内需が強くなくて、外需に依存しているような形になってきており、円高はそれに対して決定的な影響を与えていく」との見方を示した。

     日銀は今月22、23日の金融政策決定会合で利上げの是非について議論する。竹中氏は「いくらなんでも、この状況下で金利を引き上げることはしないとは思うが、日銀はデフレの中で金利を引き上げるというマーケットの常識からは信じ難いようなことをこの1年間やってきた。その総決算をしてもらいたい」と利上げを強くけん制。その上で「日銀がちゃんとやってくれないと、(デフレ脱却が後ズレし)国民の消費税負担が増える。今そのワナに陥り始めており、マーケットとしっかりとした対話をしてもらわないと困る」と注文をつけた。

    朝日(ロイター)「サブプライム問題、銀行巻き込まれておらず底は抜けない=前総務相」

    デフレ下での利上げに異論があるとの結論において、webmasterは竹中先生と同じ立場にありますが、その前提となると大いに異なります。より正確には、竹中先生の前提がどのようなものなのか、政策プロモータとして突っ込んで考えていないという見方をとらないなら、何がなんだかよくわからないとしかいいようがないのです。

    かつてwebmasterは、日銀が自らの金融引締めを正当化するロジックとして、次のようなものを用いているであろうと推測しました

    • 潜在成長率を上回る経済成長
    • 国際的なディスインフレーション傾向
    • 絶対水準としての低金利=緩和的状態

    3番目は捨象するとして、水の沸騰の比喩を用いるなら、日銀の筋書きは、

    1. 火力は十分にあり100度に達している(現在の経済成長は潜在成長率を上回り、インフレギャップが生じている)。
    2. しかしながら、重い蓋が載っているので、まだ沸騰は見られない(国際的なディスインフレーション傾向のため、1.の状況にかかわらず、物価は上昇していない)。
    3. このような状況下において、2.のみを見て火力をもっと強くする(金融緩和の維持)のは蓋を吹き飛ばすような急激な沸騰の危険を招くものであり(著しいインフレのリスクがある)、100度を維持できる程度の火力を保つのが賢いやり方だ。

    というものとなります。webmasterの管見では、そもそも現在程度の火力ではまだ100度に達していないから沸騰していない(経済成長では潜在成長率を安定的に上回るものではないからデフレ圧力が消えない)のであって、もっと火力を強めよということとなるわけですが、竹中先生は小泉構造改革のイデオローグとして潜在成長率の低下を説いてしまっているので、100度に達していないとは認められていないわけです。

    そんな腰の引けた態度(笑)で日銀にとやかく注文をつけたところで、「100度に達しているのに火力を強めよなんて、バカなこと言わないでくださいよ」とあしらわれて終わりに決まっています。それどころか、政府の失政=構造改革の進捗がみられないので潜在成長率が上がらないことを覆い隠すため、日銀に濡れ衣を着せようとしているんでしょ、と足元を見られるのがオチでしょう。

    真に日銀の金融引締めを批判したいならば、まずは自らの過ちを認め、日本の潜在成長率はそんなに低くはないのだ、と言うべきではありませんか、竹中先生?

    08/19/2007 (11:59 pm)

    24時間テレビとマラソン

    Filed under: entertainment, media ::

    観てもいないのに、という気はするのですが。

    795 名前: 会社員(catv?)[] 投稿日:2007/08/18(土) 13:13:23 ID:wzPqNX4Z0 BE:761634465-2BP(0)

    大体この恒例のマラソンって何の意味があるんだ?

    797 名前: ゴーストライター(アラバマ州)[] 投稿日:2007/08/18(土) 13:17:46 ID:VA1BB2OV0

    >>795
    1992年にマラソン開始してから視聴率が大幅UP
    その後もほぼ安定した数字を維持してる

    798 名前: 理系(関西地方)[] 投稿日:2007/08/18(土) 13:18:06 ID:FZdKEKrB0

    >>795
    「この人も勇気を出して頑張ってるんだから、自分も頑張ろう!」
    という、ものすごくクサいクサい展開を狙ってるだけ

    一生懸命生きる勇気
    元気を分け与える
    皆が一つになれる

    書いてて気持ち悪くなってきた・・・・

    欽ちゃん70キロマラソン「医学的に非常識」(( ;^ω^)<へいわぼけより)

    安定した数字を取れる、というのには、レス798のような話だけでもないような気がwebmasterにはします。おそらく、24時間という尺とマラソンというスポーツの相性のよさがあるのではないかと。

    24時間テレビの特性を考えるに、ずっと観続ける人はまずいない、ということは大きいでしょう。番組中に組み込まれたドラマなりヴァラエティなりのひとつ(ないし複数)のコーナーを観ようと思う人は少なからずいるとしても、24時間テレビとして通して観ようという人は少ないはずです。人間という生物の限界が当然ありますし(笑)、「24時間テレビ」と銘打つひとつの番組であっても、テーマや進行役が共通しているとはいえ、しょせんは本来別の番組として成立するものの寄せ集めに過ぎないからです。

    テレビ局側の思惑としては、たとえば18日21:30からのドラマを観た人のうち少しでも多くを、もう一度NTV系列のチャンネルに呼び戻したいわけです。となれば、ドラマで関心を途切れさせないためにも、番組を通じて進行するイヴェントを並行させ、そのイヴェントがどうなっているかと(それこそ他局の番組の切れ目にでも)気にしてもらうというのは、なかなかうまい手だということになるでしょう。

    その意味では、別にマラソンである必要はなく、24時間かけて完結するものであれば何でもいいわけです。何らかの作品を仕上げるとか、ちょうど一日の行程がはまる登山とか、ドミノを並べるとか、番組のイメージに直結させるなら募金集め行脚をさせるとか。しかし、マラソンならではの強みとは、走るという行為が極めてシンプルであることです。

    大多数の視聴者(といっても、番組の性質上日本人全体の比率よりは少ないかもしれませんが)にとって、走るとは何の説明もなく了解可能な行為で、観るだけで辛いと思ってくれるというのは、演出上極めて有利な話です。加えて、途中から観た人にとっても、わけがわからないとばかりに関心を向けてもらえない危険性は小さいでしょう‐何をやっているかは一目瞭然ですし、時間と距離を示せば進行度合いが直ちに伝えられるのですから。

    1992年のプロデューサがどこまでこうしたことを事前に見通していたのかはわかりません。でも、以上のように(「24時間テレビ」であることを前提にすれば)数字を稼いだということも自然に思えますし、以後継続しているのも当たり前ということになるのではないでしょうか。

    08/18/2007 (12:32 am)

    FRBの公定歩合引下げ

    Filed under: economy ::

    先日、次のようなことを書いたわけですが、

    マクロの底抜けの危険が生じてしまった事態を想定するなら、マクロ対応としては、欧米ともにインフレ警戒で引締め気味の運営の中、インフレ率が明確に反転しないようですと、難しい話になってくるのは否めません。財政刺激に頼らざるを得なくなるのかもしれないでしょう。

    「サブプライム問題について一言。」(8/12付)

    そのような懸念は杞憂でした。

    【ワシントン=小竹洋之】米連邦準備理事会(FRB)は17日、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、FRBが民間金融機関に資金を貸し出す際の金利である公定歩合を0.5%引き下げ、年5.75%とすることを全会一致で決定、即日実施した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した金融市場の動揺や信用収縮の広がりを懸念し、緊急利下げで金融不安に歯止めをかける必要があると判断した。

     FOMC終了後に発表した声明は、9日以降の金融不安によって「景気下振れのリスクがかなり高まった」と指摘。短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利誘導目標は年5.25%に据え置いたが、「必要に応じて行動する用意がある」と述べ、今後の経済動向次第ではFF金利も引き下げる構えを見せた。

    日経「米、公定歩合0.5%下げ・市場の動揺に歯止め狙う」

    さすがはバーナンキといいますかさすがはFRBといいますか。どこぞの中央銀行とは違い、果断な措置です。疑うようなことを書き申し訳ないです。

    #そのどこぞの中央銀行が利上げするなら、中身はともかく、思い切ったことをするという意味では同じく果断とはいえますが(笑)。

    08/18/2007 (12:30 am)

    1ドル=12円(not112円)の超円高(笑)

    Filed under: economy, media ::

    08/17/2007 (5:30 am)

    Desktop Tower Defense: genociding creeps w/o juggling@various modes

    Filed under: WWW, game ::

    7/2付エントリ7/15付エントリ7/26付エントリおよび8/10付エントリのフォローアップです。前回紹介した2ちゃん某スレにてジャグリングなしで全creeps撃破可能とされていたものを試してみました。全部できてからと思っていたのですが、SURVIVORができる見込みがたたないので(笑)、それ以外を。webmasterの主観で、易しいものから並べてあります。

    »

    08/16/2007 (12:53 pm)

    spambotはチューリングテストの夢を見るか?

    Filed under: WWW, computer ::

    前からブログをやってる人は皆感じていると思うが、トラックバックという機能の「価値」は、最近大きく変化している。電子メールがスパムメールの氾濫で通信手段としての価値を低下させたのと同じ理由で、スパムトラックバックがとんでもなく増えている。私の場合でいえば、どう低く見てもトラックバックの9割以上がスパムだ。

    特に最近は、例の「在宅ビジネス」のための自動化ツールがどんどん出てきて、いくつもいくつもブログを立ち上げ、あちこちのブログなんかからフィードを集めて記事に仕立ててあちこちにトラックバックを飛ばしまくるところまで自動でやってしまう。こうなると、トラックバックがありがたいなんて思う度合いは大幅に下がってしまう。

    もちろん、実際の記事をみれば自動化ツールだなとすぐわかるわけだが、記憶をたどれば、他の記事の抜粋とリンクからできてるウェブページなんてのは、ちょっと前までは人間様が嬉々として作ってたものなわけで(今でもそうやって作ってる情報系のサイトとかあるよねぇ)、せちがらくなったなとお嘆きの向きもあるかもしれない。この分だと、Googlezonじゃないけど、そのうちすぐにコメントやら感想やらまで自動生成するようになるね。

    「ボットはネット世論の夢を見るか?」(@H-Yamaguchi.net8/14付)

    現状、trackback spamは山口さんご指摘のとおり見ればわかる(どころか、フィルタでもかなりの確度ではじいてくれる)わけですが、「コメントやら感想やらまで自動生成するようになる」のであれば、それはチューリングテストをパスする過程における大きな一歩であるような気もします。現状から予想されるのは人工無脳なのでしょうけれども、商売になるならそこに技術的ブレイクスルーが生じるのは人の世の常、これまで研究として開発が進められていてメドが立っていない人工知能が、spamのために開発されたなんてことになったら、やっぱりそれは黒歴史として封印されてしまうのでしょうか(笑)。

    チューリングテストをパスするspambotが開発されたとして、実は困るのはspam業者だったりします。チューリングテストにパスするのであれば、たとえばbloggerからはコメントがspambotによるものとはわからないのですから、実態を知れば大いに不幸なのでしょうけれども、知らなければ「今日もコメントがもらえた」と幸せなままでいられます。しかし、spambot同士がコメントをつけあってリンクを張りあっても、spam業者にとっては何の意味もありません。いろんなところにspamコメントを残したところで、spam同士では客寄せにならないのですから。

    となると、チューリングテストにパスするspambotの次には、人間の判定員以上に厳格にチューリングテストの判定が可能なspambotの開発に進むでしょう。spambotが巡回して、このサイトは人間が運営しているわけではないと見破ればそこにはコメントせず、真に人間が運営しているものと判断した場合にのみコメントを残す、そんな機能の実装が行われるはずです。そうした機能が開発されれば、それを応用してコメントがspamかどうかを判断するblogger向けサービスが提供されるようになるでしょうから、さらに見破りにくいspambotが開発され、さらにそれを見破るspambotが開発され・・・。

    #他方で、じゃあアクセスが少ないと悩んでいるblogger向けにspambotがコメントしてくれるサービス(をする場合、それを”spambot”と呼ぶのかは議論があるでしょうが)は成立するかといえば、それはしないだろうなぁというあたりは山形浩生さんの「ネットワークのオプション価値」をご覧いただければ。

    08/15/2007 (4:14 am)

    続・何でもかんでも官僚のせいにするのは勘弁してください。

    Filed under: government ::

    昨日のエントリについて、藤代裕之さんより言及をいただきました。

    追記・上記エントリーに対して「何でもかんでも官僚のせいにするのは勘弁してください。」というトラックバックを頂きました。よく読んで頂きたいのですが、政治に問題があることは指摘していますが(小池氏の手法についても言及している)、それは後で国民が審判を下せることであるということです。このエントリーのポイントは官僚の分をわきまえぬ行動にあります。bewaad氏がどのような人物か知りませんが、何でもかんでも官僚のせいにしているわけでもないのに、あえてステレオタイプの官僚バッシングのように見せ、他に責任を擦り付けるのは官僚の常套手段ですね(苦笑

    bewaad氏は『民間企業でたとえるならば、部長人事は本部長権限ではなく取締役会事項とされているような場合において、取締役会をさしおいて本部長が部長人事を決定したので…』と書かれているのですが、そもそも次官の任命権者は所管の閣僚にあるわけで、慣例がまかり通っているに過ぎません。『次官の任命権者は所管閣僚だが、制度上、官房長官が主催する閣議人事検討会議に諮る必要があり、塩崎長官が会議開催を拒否すれば、人事は事実上凍結される』(毎日新聞)、『事務次官などの省庁幹部人事は通例、大臣と官邸双方の意向が反映される。大臣が現職事務次官と相談して大筋の人事を決め、正副官房長官による人事検討会議の了承を得て閣議で決定するのが慣例となっていた』(朝日新聞)。それに、民間企業ならお家騒動で価値が下がれば株を売ることも出来ますが、省庁は株を売ることはできません。

    大臣が事務次官人事を行うのは普通のことであり「慣例」は反対の根拠のなりません(何度も言いますが、小池大臣の手法と官邸と官僚の政治の力学などに問題はありますが、ここではそれが論点ではありません)守屋次官におかれましては、国民の貴重な税金で給与が支払われている執務時間内に、人事白紙撤回や後任の阻止といった「政治活動」にいそしむことなく、本来の防衛省職員としての仕事に励んでいただきたいものです。

    「官僚天国ニッポン、事務次官はクビに出来ないのか」(@ガ島通信8/13付)

    まず事実関係については、branchさんが詳細に検証されているように、人事検討会議を経て閣議了解、という流れは閣議決定事項ですから、制度的な根拠のない慣例などではありません。対外的効力が問われているのであればさておき、行政府内においては、総理大臣といえども閣議決定に服する必要がありますから、(昨日と半ば重なりますが)藤代さんがエントリのタイトルに冠されている「事務次官はクビに出来ないのか」との問いについては、きちんと手続を踏めば出来ますよ、今回は手続に瑕疵があって騒ぎになっていますが、というのが答えなのです。「クビに出来ない」と事実に基づかない前提を立てて、「官僚天国ニッポン」とレッテルを貼られたことにつき、それは違います、と申し上げているわけです。

    続いて、藤代さんご自身がエントリのポイントとされている「官僚の分をわきまえぬ行動」というのが、webmasterにはよくわからないのです。守屋次官自身については、今回の騒動(やその長期政権、およびその期間中の部内統制)を見るに、webmasterの好みを言えば決していい評価を与えたいものではありません。不満があっても呑み込む方が見習いたい立居振舞であるのは事実です。しかし、それは人の常というものでしょう。

    人事に対して不満を持つ人はこの世にいくらでもいます。主観的に理不尽だと思う人事について、何ら不平もいわず淡々と受け入れる人ばかりでないからこそ、そのような行動が賞賛されもするのでしょう。そして不平不満がある際、手続的瑕疵に着目してその効力を争うというのも、これまた世の中にいくらでもある話です。手続に何ら問題なく正式に組織決定された事項に対して反抗するのであればともかく、不平不満を抱くことそのものや、手続の問題に着目して挽回を図ることまでもが「分をわきまえぬ」というのであれば、官僚は聖人君子であらねばならぬし、手続に瑕疵があっても文句を言うな、ということになってしまいます。

    結局のところ、

    国民は、今回の小池大臣の行動が気にいらなければ選挙で審判を下すことが出来ますが、官僚は選べません。官僚機構が現実として国を動かしているとすれば、政治にはせめて事務次官をクビにする(選ぶ)ぐらいしか出来ない、それすら否定されれば選挙、民主政治の意味がなくなってしまいかねません。

    「官僚天国ニッポン、事務次官はクビに出来ないのか」(@ガ島通信8/13付)

    という事実認識が藤代さんの論を支えているのだとwebmasterは思います。「政治にはせめて事務次官をクビにする(選ぶ)ぐらいしか出来ない」というご指摘は、webmasterは違うと考えていますが、そこは水掛け論なのでしょう。その判断は読者諸賢にゆだねたいと思いますが、たとえば横田由美子「私が愛した官僚たち」に出てくる政治家に転身した元官僚たちは、皆官僚ではできることに限界がある、本当にやりたいことをやるには政治家でないと、といって役所を辞めているわけです。webmasterの管見では政治家だってやりたいようにやるなんてことは出来ない(といいますか、そんな人はこの世に何人いるのでしょう?)と思うのですが、とまれ、官僚だからといって好き放題できるのであれば、そのような理由で政治家に転身する人はいないのではないでしょうか。

    #官僚を志望して官僚となる=世間の平均よりは霞が関の情報を収集しているであろう者であっても、入ってみてこんなはずではなかったと思うぐらいですから、なかなかわからなくても無理はないと思いますが。

    08/14/2007 (4:39 am)

    何でもかんでも官僚のせいにするのは勘弁してください。

    Filed under: government ::

    昨日の続きのようなものですが。

    小池百合子防衛大臣が、トップダウンで守屋武昌事務次官を退任させようとしたものの中に浮き、人事が凍結されて内閣改造後に判断することになりそうだとのこと。以前、田中真紀子外務大臣が同様のことをしてバッシングされたことがありましたが、報道によると守屋氏は「聞いていない」と怒り、官邸の安部首相を訪ねたとか。テレビや新聞社は、相変わらず「政局」として伝えていますが、官僚の増長ぶり、省庁のガバナンスの問題として捉えるべきではないのでしょうか。

    小池大臣が、官僚や防衛族などへの寝回しといった霞ヶ関と永田町の論理に従わず、人事を記者にリークしたという戦略がまずかったこと、人事について相談されていないことに事務次官が不快に思うことは理解できますが、国民に選ばれたわけでもない事務次官が大臣の判断に公然と反旗を翻し、首相の貴重な時間(まあ、安倍氏なので貴重かどうか分からないという議論はさておき)を自身の進退について割くというのは官僚の分を超えています。政党がシンクタンク機能を持たず、政策立案を霞ヶ関に丸投げしている政治の問題、官僚の流動性がないこと(民間企業のように、次の事務次官がダメなら守屋氏を呼び戻すというのもアリにすればいいと思う)、も議論しなければなりませんが、その前にあくまで官僚は公務員であり、国民に選ばれた大臣を支えるのが仕事のはずです。

    「官僚天国ニッポン、事務次官はクビに出来ないのか」(@ガ島通信8/13付)

    そもそも事務次官人事は、大臣の専決事項ではなく、官邸の意向も踏まえて行うものとされています。だからこそ、塩崎官房長官も待ったをかけているわけです。

     小池防衛相が一度内定した守屋武昌防衛事務次官(62)の退任が13日、凍結された。在任5年目で官邸と太いパイプを持つ守屋氏に相談しないまま小池氏が警察庁出身者を後任に決めたため、守屋氏が反発。塩崎官房長官も根回し不足を理由に「待った」をかけた。13日には小池、守屋両氏が代わる代わる首相官邸を訪れ、安倍首相や塩崎氏と直談判する異例の事態に。結論は27日ごろの内閣改造後に先送りされる公算が大きく、安倍政権の求心力の低下が露呈した形だ。

     小池氏は13日午前、官邸に塩崎氏を訪れ、15日の閣議で次官人事を決めるよう要請。しかし塩崎氏は「事前に相談がなく、手続きが非常識だ」などと突っぱねた。この直後、今度は守屋氏が官邸で安倍首相と会談。さらに小池氏が再び訪れ首相と面会。首相は13日夜、「人事検討会議は官房長官が開きます」と記者団に語り、現段階では塩崎氏の判断を支持する考えを示した。

     収まりがつかない小池氏は同夜、周囲に怒りをぶちまけた。「塩崎さんは、官僚の長期在任を許さないのが持論だったはずではないのか!」

     事務次官などの省庁幹部人事は通例、大臣と官邸双方の意向が反映される。大臣が現職事務次官と相談して大筋の人事を決め、正副官房長官による人事検討会議の了承を得て閣議で決定するのが慣例となっていた。

    朝日「防衛次官人事で火花 防衛相の独断に官邸「相談ない」」

     塩崎氏は「次官人事は正副官房長官による人事検討会議で決めるべきだが、事前に報告がなく報道だけが先行した。人事の意思決定システムが大きく揺らいでいる」と指摘。さらに「内閣改造後に新しい防衛相の下で決めるべきで、これは正副官房長官4人の総意だ」と小池氏の提案を拒否した。

    東京「小池氏、一時辞任も示唆 防衛次官人事先送りへ」

    民間企業でたとえるならば、部長人事は本部長権限ではなく取締役会事項とされているような場合において、取締役会をさしおいて本部長が部長人事を決定したので、総務担当取締役が異を唱えた、というようなものでしょう。藤代裕之さんがエントリのタイトルに冠したように事務次官を辞めさせることができないなんてことはまったくなく、それこそ閣議決定(前述の例で言えば取締役会決定)をしてしまえば終わる話です。閣議の主宰者である総理(とその補佐役である官房長官)が閣議でなく凍結を選んだのですから、仮に小池大臣の意向が尊重されるべきなのだと藤代さんがお考えであれば、その批判の対象は総理・官房長官であるべきでしょう。

    まして、branchさんが言及されているように、小池大臣は事前に総理の了解はとりつけていた可能性があります。もしそうであるならば、ことは官邸内の意思疎通・ガヴァナンスの問題、つまりは総理が担当である官房長官の了解を得ずして了承したことについて、担当の意向とトップダウンとのいずれを重視するかの問題でしょう。ま、塩崎官房長官が官僚の操り人形であるとお考えであるならば、話は違ってくるのでしょうけれども。

    #正直に申し上げるならば、総理の寵を小池大臣と塩崎長官とが争い、今のところ塩崎長官に軍配が上がっているようにしか見えない気が(笑)。

    蛇足ながら藤代さんは、同エントリにて、

    先日は、天下り斡旋を調査するために公開ヒアリングに、財務、厚生労働、農水、国土交通各省の事務次官経験者全員が出席要請を拒否していることも明らかになりました。小泉政権は国民の圧倒的な支持があり、ある程度(あくまである程度)は官僚に押さえが聞きましたが、支持率が低い安倍政権は既に官僚に見切られているのは明らか。政治もだらしないですが、増長した官僚の行動を批判なく伝えるマスメディアも、官僚天国ニッポンを支えているのです。

    「官僚天国ニッポン、事務次官はクビに出来ないのか」(@ガ島通信8/13付)

    ともお書きです。しかしこの件については、

    (問)昨日の懇談会のお話で恐縮なんですけれども、事務次官OBの出席要請というのは、なされたのかなされてなかったのかがはっきりしなくて……。

    (答)これは私の方から行政改革推進本部事務局に対して23日の会合に7名の次官OBの方に出席をお願いするように明示的に指示を出しております。したがって、週末の時点で事務局から事務次官OBが都合がつかないようだという報告がございました。これを塩崎官房長官の方にも報告をしておりますので、官房長官の方では事務次官OBが出席したくないと言ってきているという理解をされたんだと思います。

     昨日の説明によれば、皆様もお聞きになっていたと思いますが、行政改革推進本部事務局と各省との間でどういう内容を聞くかなどの打合せをしておったと。そのうちに時間切れになってしまったという説明でした。つまり、次官OBには直接声をかけていなかったというのが真相だったのというのが昨日の説明でした。

     これは私の理解では、行政改革推進本部事務局と各省が、意図的にか意図せざるものかは別として、結果としてサボタージュを行ったと言われてもやむを得ない結果だと思います。事務局にはこうした不手際を繰り返さないよう私の方から強く指示を出しております。

     事実関係というのはそういうところですね。

    (略)

    (問)確認なんですが、要するに次官OBのところまで、本人には伝わってなかったという認識でよろしいんですか。

    (答)事務方の説明では、結果としてそういうことだと思います。つまり、各省といろいろ打合せをしているうちに時間が過ぎてしまったということですから。ですから、結果として伝わっていなかったと。ですから、それが意図的にやったのか、成り行き上そうなってしまったのかについては判然としません。結果としてサボタージュと言われてもしようがないなということではないでしょうか。

    渡辺内閣府特命担当大臣記者会見要旨(平成19年7月24日(火)10:06〜10:19 於:内閣府本府 522号室)

    と渡辺大臣がはっきりおっしゃっているように、「事務次官経験者全員が出席要請を拒否している」というのは事実無根です。まあ何をやっても官僚が批判される現状はあきらめていますが、せめて事実に基づいた批判をお願いしたいもので。それとも、官僚は存在自体悪だから、言いがかりだろうと何だろうと、あらゆる批判は望ましいものであるとお考えなのでしょうか?

    08/13/2007 (7:36 am)

    守屋防衛事務次官の退任

    Filed under: government ::

    branchさんが継続的にヲチしていらっしゃいます(8/58/78/88/108/12)が、branchさんの解釈にはwebmasterは異論があります。少なくとも退任が小池大臣との確執等によるサプライズ、というのは違うような気がします。

    まず、小池大臣との仲は悪くないようですし、

     安倍晋三首相が、辞任した久間章生防衛相の後任に小池百合子首相補佐官(安全保障担当)を充てたのは、参院選を目前に控え、閣僚経験も長く安定感のある女性の起用で内閣のイメージ回復を図る狙いからだ。首相官邸で安全保障政策に携わり、キャスター出身で知名度も高い小池氏は「選挙の顔」になるとの判断もあったようだ。

    (略)

     安倍政権発足以来、小池氏が安全保障担当補佐官として、安全保障政策に関与してきた経験も適任と判断する材料になった。防衛省の副大臣や政務官は経験していないが、守屋武昌事務次官とは旧知の仲。制服自衛官幹部との付き合いもあり、もともと省内の一部には待望論もあった。

    毎日「久間防衛相辞任:後任人事でイメージ回復狙う 異例の決着」

    久間前大臣の時代に9月の退任は既定路線であったことを伺わせる報道もあります。

     防衛省の守屋武昌事務次官(62)が、8月1日で在任5年目を迎える。通常1−2年で交代する中央省庁の事務次官としては異例の長期。参院の与野党逆転で秋の臨時国会ではテロ対策特別措置法の延長問題が最大焦点となるため、年内は続投するとの見方が有力になっている。

    (略)

     防衛省内では当初、9月1日の大幅な組織改編に合わせて守屋氏も勇退するとの観測があった。しかし参院選の与党惨敗を受け、同省幹部は「安倍内閣は臨時国会を乗り切るために守屋氏が必要なはずだ」と指摘する。

    時事「守屋防衛次官、在任5年目に=テロ特措法控え続投論も」

     小池百合子防衛相が、在任期間が異例の4年を超えた守屋武昌事務次官(62)の退任を決断したのは、当面続投すると見られていた守屋氏をあえて退任させ、指導力を示すことを狙ったものと見られている。後任に警察庁出身の西川徹矢官房長を充てたのも、小池防衛相が就任以来、情報保全体制の強化を最優先にしていることの表れでもあり、「小池色」を強くにじませた人事と言えそうだ。

     政府関係者によると、守屋氏は今年3月に定年延長した際、久間章生前防衛相から「9月に退任する」ことを条件として提示されていたという。しかし、久間氏が原爆投下を「しょうがない」と発言し辞任。後任に守屋氏と旧知の仲であった小池防衛相が就任したことから、「当面は続投」との見方が省内では支配的になっていた。

    毎日「守屋防衛次官退任:「小池色」アピール 長期在任への不満考慮」

    それにしてはいろいろと物議を醸している(からこそbranchさんもヲチされているのでしょうけれども(笑))のは、後任はサプライズだったのかな、と。

    08/13/2007 (7:34 am)

    森永卓郎「「順調に進む財政再建」をひた隠す理由」

    Filed under: treasury ::

    既に多くの方がご存じなのでしょうけれども。

    もし未読の方がいらっしゃいましたら。

    08/12/2007 (7:09 pm)

    サブプライム問題について一言。

    Filed under: economy ::

    webmasterの自意識過剰ではあるのでしょうけれども、呼ばれたような気がしまして(笑)。

     こんなことを言うととばっちりが来そうだが、ネットの経済屋さん、とくにリフレさんというか、こういう状況で具体的なビジョンというのは語らない感じがする。総じていえば、経済学が抽象度が高い学問のせいか、その抽象性の優位に知性が居座っていて、状況や政治力学(軍事++)の感性が鈍いように思われる。

    「朝日社説 米信用不安―「対岸の火事」ではない」(@finalventの日記8/11日付)

    この手の金融危機については、最近の経験則(日本の金融危機等)により、

    1. 当座の対応としては、流動性危機が連鎖しないよう、中央銀行による流動性供給に万全を図る。
    2. 原因への対応としては、マクロ的な下支えを十分に果たした上で、市場での調整にゆだねる。
    3. 再発防止に向けた制度的対応としては、不安の連鎖を断ち切れるよう、情報開示の充実に努める。

    というパターンがベストプラクティスとして確立しています。現時点は1.の段階にあり、その巧拙は議論になり得るにせよ(ECBの対応についてのbank.of.japanさんの考察は、どのような観点から中央銀行の対応を分析すべきかを示していて、興味深いものだと思います)、当面は推移を見守る以上のものではないでしょう。

    マクロの底抜けの危険が生じてしまった事態を想定するなら、マクロ対応としては、欧米ともにインフレ警戒で引締め気味の運営の中、インフレ率が明確に反転しないようですと、難しい話になってくるのは否めません。財政刺激に頼らざるを得なくなるのかもしれないでしょう。

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