日銀の市場との対話能力向上のために
市場とのコミュニケーション能力は日銀が最低−。各国中銀が金融政策への理解を高めようと、市場との対話や透明性向上に腐心する中、英投資銀行バークレイズ・キャピタルはこのほど、こんな調査結果を公表した。
調査対象は日銀のほか、米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(英中銀)の4行。調査期間は8月1日から24日で、世界各地の約1200に及ぶ商業銀行やヘッジファンドなどから回答を得た。
市場との対話能力に関する地域別調査では、日銀は日本を含む全地域で最低、逆にFRBは全地域で最高だった。商業銀行やヘッジファンドなど業種別の調査でも、日銀は全業種で最低。外国中銀では、学界で英中銀が1位となったほかは、すべてFRBがトップの評価を受けた。
インフレターゲティングを導入すればいいのに、とはwebmasterの感想ですが、そうはいっても日銀に抵抗感があるのは周知の事実です(インフレ率がプラスになったら検討してもよいと福井総裁は言っていたわけですから、日銀が量的緩和解除やゼロ金利解除にコアCPIがプラスだったことを理由のひとつとしたことからすれば、その頃から検討してるんでしょうねぇ、と厭味のひとつも言いたくなりますが)。そこで、インフレターゲティングとは離れて、どうすれば市場との対話について高い評価が得られるようになるかを考えてみます。
結論から申し上げれば、
- 多義的な解釈を許さない、客観的に検証可能な判断基準の提示
- 金融政策決定会合における票数の急激な変化の抑止
の2点となります。
前者については、たとえば本年2月の利上げ時に、
量的緩和政策の枠組みからの脱却後は、経済は、前向きに、よりダイナミックに動けるようになったということですので、特定の指標だけで金融政策を判断するということは、金融政策の最も適切な判断、機動的な運営、すべてにとってむしろ足かせになるということです。やはり、フォワード・ルッキングに先々の経済の展望は何かということを明確につかみながら、より望ましい金利水準を遅からず早からず設定していくという、量的緩和政策を続けている時よりも、はるかにダイナミックな判断が必要な状況になったということではないかと思います。
とのことでしたが、ここで想定する「特定の指標」=コアCPIでなくてもよいので、名目ないし実質GDP成長率なり失業率なり名目金利なり、何がしかの目標となる状況を明らかにするとか、引締め/緩和すべき状態の判断基準を示すとか、そういった形で日銀の方向性を誰しもが予測可能な状態にするべきでしょう。
#もちろん、最近のサブプライム問題のような場合に、そうした方向性から逸脱する例外を否定するものではありません。例外があり得ることを明らかにした上で、原則が何かについて、客観的に検証可能な定量基準を明らかにすべき、ということです。
ところが現状は、定性的な‐さらに遠慮なく申し上げるなら、あいまいな‐基準しか示されておらず、日銀が金融政策を変更するのかどうかを予測しようとすれば、総裁をはじめとする関係者の言葉をいちいちチェックし、そこでのニュアンスを訓詁学的に解釈しなければなりません。日銀からすれば、解釈の材料をなるべく多く提供することが「市場との対話」とお考えなのかもしれませんが、そもそもそのような材料集めをしなくてもよいようにすることこそが、より良質の「市場との対話」を可能とするのだとwebmasterは思います。
後者については、たとえば量的緩和解除以降の金融政策変更を見れば、
- 量的緩和解除(2006.3)
-
直前・・・現状維持に賛成6、反対2(当座預金残高の誘導目標を引き下げるべき)
- 変更時・・・変更に賛成7、反対1(量的緩和を維持すべき)
- ゼロ金利解除(2006.7)
-
直前・・・現状維持に賛成9(全員賛成)
- 変更時・・・変更に賛成9(全員賛成)
- 0.25→0.5利上げ(2007.2)
-
直前・・・現状維持に賛成6、反対3(0.5に引き上げるべき)
- 変更時・・・変更に賛成8、反対1(0.25を維持すべき)
といった具合で、なだれをうっての「転向」で一気に政策変更が実現してしまう傾向が顕著です。先の基準のあいまいさとの相乗効果で、議論の結果審議委員の間で考えを変える者が出てきた結果として金融政策が変更されるのではなく、結局は変更の結論先にありきではないか、と考えるのが自然になってしまうわけです。
各審議委員は独立して判断を行い、何ら誘導等は行われていないというのであれば、票数の急激な変動を避けようにも手段がないということになってしまうわけではありますが・・・。





9月 9th, 2007 at 2:48:20
そもそも、市場との対話や透明性って、日銀は言うほど本当に重視しているんでしょうか。
それより、いかなる状況になろうと責任を取らされないことや、日銀の独立性を死守することの方が、余程重視されているように思えるのですが。
だから、「客観的に検証可能な定量基準」なんて示して、後日金融政策を客観的に検証されてしまうようなことは、日銀としては最も避けたいことの部類に属するのではないかと愚考します。
要は、そんなの日銀に期待するだけm(ry
9月 9th, 2007 at 9:27:40
「空気」の分析が必要 (by inose副知事)
空気は、どこの空気か? 財界、官界、政界、朝日岩波界?
どこの空気の読み方
そこで誰の声が大きいのか?或いは、誰が排除されたか?
声の大きい空気は、サポタージュ
結局、排除されたのが誰かが大きい。それが沈黙のマジョリティーの意思だから。
9月 9th, 2007 at 15:22:39
>yyさん
本音はそうなのでしょうけれども(笑)、彼/女らとて建前は無視できないわけでして。