トヨタの「シミュレーション」の不思議
昨日の続きとなりますが、富士スピードウェイでのF1日本GPにおける大渋滞について、次のような分析があります。
さて、では問題はどこにあったのか。
それは交互通行の1車線ということにつきます。
交互通行ということは交互に数分とめる必要があります。これをでは3分としましょう。3分とまると、本来3分の間に外に出るはずのバスの数、341台/h x 3 / 60 = 約17台が並ぶことになります。17台がならぶとどうなるか。
17台 x (12m + 10m) = 374mの渋滞の列ができます。
ところがこの交互通行の場所からバス停まで、374mもありません、せいぜい100〜200mほどでしょうか。となるとどうなるかというと、後から来たバスが、バス停に寄れません。バス停に寄れないとどうなるか。本来乗せられる人が乗せられないばかりか、出るバスの後ろに、入るバスの渋滞ができてしまったのです。入るバスと出るバスがごっちゃになって列を作ることで、バスは中に入れず、外に出られず、にっちもさっちもいかない状態になってしまったのです。
(略)
この渋滞によって、本来4時間で15万人を輸送できたはずが、計画倒れに終わりました。その結果レース終了をまたずに2pm位から帰り始めた人から8:00pmの会場閉鎖までいたひとまで含めて、シャトルバスは10pmを超えて運行せざるを得なかった、つまり8時間くらいはかかったわけです。
「F1富士シャトルバスの惨劇は人災である」(@[の] のまのしわざ10/4付)
読んだ限りではwebmasterはもっともな分析だと思うのですが、他方で納得のいかないことが出てきます。というのも、この分析のとおりに渋滞が起こることは、
- 動線計画をまともにやればボトルネックはすぐに明らかになりますし、
- (通常動線計画のシミュレーションで明らかになるのが普通ですが、緻密なシミュレーションを行わずともボトルネックの存在さえつきとめれば)そのボトルネックでどの程度の待ち行列ができるかは、概数は簡単な計算で求められるからです(まして今回は、パークアンドライドで入場をコントロールしているので、ノイズは少なく計算誤差も小さなものとなります)。
さて、報道によれば、
トヨタとFSWは大会直前、問題発生を懸念する夕刊フジの取材に「シミュレーションの結果は万全で、問題は起こらない」(トヨタの高橋敬三モータースポーツ部長)と胸を張っていた。今回のGPでトヨタは惨敗。今夏までトヨタF1チームの代表だった富田会長は「お客さまの声を謙虚に聞いて、システムを進化させることが義務であると感じています」と語ってはいるのだが…。
ZAKZAK「富士F1運営クラッシュ…日本GPでトラブル続出!」
と、トヨタ・富士スピードウェイはシミュレーションを行ったと明言しています。TPS(トヨタ生産方式)によるコストダウンで知られたトヨタ、シミュレーションをまわしたにもかかわらず、動線計画もなければ待ち行列の計算も怠っているなんてことは考えづらいです‐工場の設計・生産設備の配置等において最大限活用してこその生産性向上なのですから。トヨタの生産効率が単なる場当たり・泥縄のまぐれ当たりの累積でない限り、シミュレーションをすれば必ずこれらの問題点は事前に予測できたはず。となると、実はシミュレーションをしていなかった、というのがwebmasterにとって一番しっくりくる話なのですが・・・。
#仮にwebmasterの憶測が的中していたとして、ではなぜシミュレーションをしなかったのか、という新たな疑問が浮かんでくるだけではあります。コストをけちるなら下流であって、上流でむやみにけちるべからず、ということぐらいトヨタだってよくわかっているでしょうに。
