bewaad institute@kasumigaseki

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  • 10/18/2007 (11:59 pm)

    お薦めの地方財政本など

    Filed under: treasury, book ::

    (神野直彦「地方自治体壊滅」)

    このところ数冊、地域格差関連の本を読んだのだけれど、その中では、これが一番よかった。提言の章に入ると何だかよくわからなくなってしまうのだけれど、前半〜中盤の状況整理は簡潔かつ分かり易い。倫理的な悪をどこかに見出して叩き溜飲を下げるというパターンを脱すると、視界はクリアになる。

    大抵の問題がそうだ、と感じてる。(……にしても「地方自治体壊滅」ってタイトルはどうかと思う。でも何冊かパラパラしてみた感じ、神野さんって、基本的に暑苦しい系みたい。冷静に状況を見てるっぽい印象を受ける本書前半の方が例外なのかも)

    「乞食はどこへ消えた?」(@趣味のWebデザイン10/15付)

    ここで掲げられている神野先生の本は読んだことがないので、それとの比較はできないのですが、「倫理的な悪をどこかに見出して叩き溜飲を下げるというパターンを脱」した「視界はクリア」な地方財政の本といえば、webmasterは次が決定版だと思っています。

    書評を書きたいと思いつつなかなか書けずに今に至っていますが、地方財政問題を論ずるにはこれさえ読んでおけば世の99%の人よりはきちんと考えられるといいますか、世の99%の本はどのような誤解がまかり通っているのかを知ること以外には存在価値がなくなるといいますか。小西先生による昨年7月の日経・経済教室でその片鱗をうかがうことはできますので、ぜひお目通しいただければ。

    若干話を変えると、「倫理的な悪をどこかに見出して叩き溜飲を下げるというパターンを脱」して「視界はクリア」といえば、年金における権丈先生もそうですが、その最新のテキストはこれまたすばらしいものです。

    小西先生といい権丈先生といい、政府のやることにだっておおむね正しいことは少なからずあるのだ、というスタンスこそが「倫理的な悪をどこかに見出して叩き溜飲を下げるというパターンを脱する」ポイントなのではないでしょうか。・・・なんてことをwebmaster、つまりは官僚がかくと、両先生が御用学者であるかのごとく受け止められてしまうおそれがあるのはつらいのですが、ともかく読んだ上でご判断いただければ。

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    8 Responses to “お薦めの地方財政本など”

    1. 通りすがり(オリ) Says:

      権丈先生を厚生労働省の御用学者というのはかなりの抵抗がありますが、小西先生については、総務省の御用学者というためのハードルがだいぶ低くなった、のが上記の本の感想です。総務省官僚としてはぜひしたいけれど政治の壁にぶつかっている地方税本体の増税をはっきり主張されています(増税は地方団体にとってもしたくないので、小西先生は6団体からは干されていきそうな予感)。

      bewaadさまとは違う意味ですが、地方財政、とくに地方交付税についての誤解が蔓延しているもとで、私もおすすめです(別にお前の意見は聞いてないよーそうですか、そうですよね)。

    2. BUNTEN Says:

      うーみゅトラバするべきネタではないのでコメント欄でだけ、徳保さんのエントリに向けてトラバしたエントリのURLを紹介。

      「乞食が見られなくなったわけの憶測」
      http://d.hatena.ne.jp/BUNTEN/20071016#p1

      徳保さんのエントリに対する私のぶくまコメント。
      「あえて言おう。「女性のホームレスが異様に少ないという事実は、」男性に対する社会からの抑圧が異常に強いことを示しているのだと。」

    3. 一国民 Says:

      権丈先生のテキスト読みました、ざっとですけど。
      経済学の理論的には、まあそうなのかな、という程度の理解なんですが、民主党のせいで国民の年金理解が悪い方向に進んじゃってるよっていう話のもっていき方はどうなんですかね。
      PS3が売れないのを自分のせいじゃないと言っているソニー、あるいは、若者に車が売れないのを自分のせいじゃないと言っているトヨタみたいというか。
      ルール・環境をより変えやすい立場にいるシェアトップの側が「うちの技術はすごいのに何で理解されないんだ!」みたいに言うのは見苦しいというか、オトナの態度じゃないんじゃないかという。
      それこそ、凝学問そのままな気がして・・・。
      自家中毒ってこういうもんなんでしょうかね。

    4. 民間平社員 Says:

      無知な私は第2号被保険者から第1号被保険者への再分配が行われているのだとばかり思っておりました。
      権丈先生のテキストを元にもっとうまく現行制度を宣伝すればいいのにと思います。

      平社員の感情論では、高所得の自営業者ってのはうまく税金を逃れているなあと思っています。昔自営業の方と遊びに行くこともありましたが、「領収書頂戴」ばっかりでした(笑)
      Wikipediaの国民年金の項を見ても、保険料は14100円固定で報酬スライドにすらなっていません。芸能人やスポーツ選手は14100円しか払わなくていいわけです。つまり、保険についても所得再分配の網から逸脱しています。
      せめてこういう人達からも一定の負担をしていただくような制度にできないものでしょうかね。

      税も保険も公正感が必要です。
      取りやすいからといって「サラリーマンにはもっと頑張ってもらわなければならない」(by 石弘光氏)ばかりやるのは勘弁してもらいたいです。

    5. 通りすがり(オリ) Says:

      民間平社員さま

      単純な思い過ごしをされているようなので。
      >国民年金の項を見ても、保険料は14100円固定で報酬スライドにすらなっていません。芸能人やスポーツ選手は14100円しか払わなくていいわけです。
      たしかにそのとおりなのですが、給付(もらえる年金)も、上限(40年間保険料を欠かさず納めたとして)で80何万円と「定額」です。

      >領収書頂戴
      社用族があるじゃないか(死語)。
      自営業者からみると、サラリーマンには給与所得控除(だいたい3割程度)があっていいなあ。領収書がなくても3割控除が認められるっていいなあ。という声が聞こえそうです。

    6. 民間平社員 Says:

      通りすがり(オリ)さま

      ご指摘どうもありがとうございました。
      まあ、隣の芝生はよく見えるの類かもとは思いますが。

      >給付(もらえる年金)も、上限(40年間保険料を欠かさず納めたとして)で80何万円と「定額」です。
      結局、今の年金の問題は給付率の問題ですよね。
      第2号被保険者として払い続けるより、第1号被保険者として14100円だけ義務として拠出し、差額分を自分で積み立てるようにするほうが戻りが大きくなるケースって本当にないのでしょうか?
      特に企業が負担している分も含めて考えるとそうなりそうな気がしています。
      算術が嫌い(特に複利計算が苦手)なので検証はしていないのですが(笑)

      >社用族があるじゃないか(死語)。
      そんなバブリーな業界は、軍需産業くらいじゃないですか?(ぉぃ)

      >給与所得控除
      楽チンですが、工夫の余地がありません。
      たまたま探していて見つけちゃったのですが、業務用として高級外車を買うような荒業はできないのです。
      ↓ここに要点が書いてありますが、社長さんが業務の移動用に使うといえば控除できちゃうわけです。
      http://blog.livedoor.jp/komatsukaikei/archives/50105840...

    7. 徳保隆夫 Says:

      ご紹介の小西本、読みました。難しくて流してしまった部分も少なくないのですが、私は神野委員会よりビジョン懇に共感するところが多いんだな、ということはわかりました。

      生産性の低い地域に暮らし続けるのは自由ですが、その場合、生活水準の向上から取り残されていくのは当然だと思うのです。親戚の9割が愛知県に暮らしていますが、出身地は九州、四国、北陸、東北、北海道とバラエティに富んでいます。今でも夫についていく妻が多いそうですが、妻が愛知出身だと、夫の方が移ってきます。夕張でも9割の住人は独力で移転したのです。私の勤務先には全国から人が集まっており、中年で転職して引っ越してきた人もたくさんいます。

      戦後、瀬戸内海を中心に無人島が増えたそうですが、今後は僻地の無人化が進むといい。私は過激派なので、それくらいのことを思ってます。無論、国民のコンセンサスを的確に捉えているのは小西さんの方。昨今の格差是正の声の高まりなどを見ても、漸進的な改革が現実解なのでしょうね。

    8. webmaster Says:

      >通りすがり(オリ)さん
      まともな人間は6団体から干される、なんていったら言いすぎでしょうかねぇ。6団体内での意見の相違を無視して統一見解を出すから、やたらと玉虫色の空理空論が出てきているような気がします。かといって内部調整などできるはずもなく。

      >BUNTENさん
      こちらも徳保さんのエントリの中で私が関心を持った部分だけを引いておりますので。

      ちなみに女性のホームレスが少ないのは、水商売・風俗という産業の存在を抜きには語れないような気がします。

      >一国民さん
      私も、基本的にはある政策なりキャンペーンなりが多くの人々に受け入れられるとすれば、それは多くの人々に受け入れる素地があるからだという考えですので、民主党があんなことを言わなければ、というようには思っていません。ただ、そうした政治過程の分析は権丈先生の本職ではないので、民主党案が現行制度に比べむしろ問題がある可能性が高いとお示しいただいたところに注目いたしました。

      >民間平社員さん
      結局、自営業者の所得把握をサラリーマン並みにすることは不可能だ、ということをきちんと認めた議論ができるかどうかなのでしょう。政府は政府で、少しでもきちんと把握したいと言わざるを得ない以上、がんばりはするけれども期待しないでくれともいいづらいわけで・・・。となると高額所得を認めることへのインセンティヴが何かないかということで、でもなかなかないなぁというのが現状ではないかと思います。

      >徳保隆夫さん
      押し付けがましい推薦にもかかわらずお目通しいただき恐縮です。

      理念的にはおそらく私と徳保さんとの間に大きな見解の相違はないのだと思います。つまり、日本国民であれば保障されるべき最低限の行政サービスを超える部分については、あくまで自己責任であろうと。ただ、ここの「最低限の行政サービス」をどう捉えるかに違いがあるのでしょう。念のため申し上げるなら、私はそこは民主的政治プロセスによって決めるべきと考えていて、具体的なサービス水準としてのべき論はあまり気にしていません。

      僻地の無人化は、否応なしに進んでいくのでしょう。しかし、たとえば産廃の大量不法投棄などが現に起きているわけで、そういったことをどう防止していくのか、無人になったらコストゼロとの短絡的な理解を持っている人が少なくないのでは、という懸念はあります。

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