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  • 10/24/2007 (11:59 pm)

    第三者は著作権法違反を正しく判断できない?

    Filed under: law ::

    削除されてしまった方には申し訳ないが、このニュースは現在パブリックコメントが行われている文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理と、法制問題小委員会中間まとめに盛り込まれた内容の問題点が非常に分かりやすい形で現れたものだと思う。

    (略)

    著作権侵害が非親告罪とされてしまうと、著作権者の告発無しに著作権侵害が取り締まられることになる。

    しかし、著作権侵害であるかどうかを著作権者でない第3者が判断できるのだろうか。

    今回ニコニコ動画は、適法にアップロードされた動画を「権利侵害動画」であると判断して削除を行った。

    ニコニコ動画は適法・違法の判断を間違えたのだ。

    第3者からみて、適法・違法の判断が難しいことが、今回の削除ミスで明らかになった。

    著作権侵害を非親告罪化すると、このような判断ミスによって告発されたり逮捕されたりするケースが出てくるだろう。

    もちろん、一目で「著作権侵害だろう」と類推できるケースも多いが、第3者が的確に判断できるケースばかりとは限らない。

    「ニコニコ動画が明らかにしたダウンロード違法化・著作権侵害非親告罪化の問題点」(@Copy & Copyright Diary10/23付)

    親告罪とは、犯罪被害者が被疑者を指名すれば直ちにその者を犯罪者として罰する制度ではありません。犯罪被害者の告訴があり、それを受けて検察が起訴の要否を判断し、起訴があれば裁判所で実際に犯罪行為であったかどうかが裁かれます。つまり、親告罪においても検察や裁判所の判断を経て著作権法違反であるかどうかが判断されるわけで、「著作権侵害であるかどうかを著作権者でない第3者が判断できるのだろうか」というならば、現行制度を否定し、著作権者が違反だといったら違反だ、という制度に作り変えねば道理に合いません。

    そもそも論を言うなら、親告罪とは犯罪被害者が被害を受けたと訴えでねば罪にならないというものではありません。犯罪被害者の告訴の有無に関わらず、ある行為が構成要件に該当する場合(正確には、加えて違法性阻却・責任阻却が成立しない場合)には、その行為は違法であり罪に他なりません。親告罪であれば、罪とは言え犯罪被害者がいろいろ考えて訴えないような場合には、あえて公開法廷にて追及は行わないということに過ぎないのです。もう一度書きましょう‐訴えがなくても罪であることに変わりはないのです。

    「著作権侵害を非親告罪化すると、このような判断ミスによって告発されたり逮捕されたりするケースが出てくる」ことが問題だ、つまりは一件でも「冤罪」が出てくることが問題だとの議論であるかもしれません。それほど判断ミスによることが問題であるならば、著作者の判断ミスの場合だって問題だとしなければ一貫性がありませんが、そこは措きましょう。一般論として冤罪が不可避であり(神ならぬ身のやることですから・・・)、非親告罪化すれば親告罪であるよりも捜査件数が少なくとも減ることはない以上、冤罪の絶対数が増えることは間違いありません。それが問題だというのであれば、確かにそのとおりです。

    しかし、であればネットにおいてよく見られる盗作等の糾弾活動を、非親告罪化に対する批判を超えて批判すべきでしょう。第三者の告発から始まる著作権法違反の捜査・起訴・訴訟手続においては、デュープロセスの保障が及びます。わかりやすくいえば、ニコニコ動画のような間違いに基づいて刑罰が科される可能性を極小化するよう、各般の法律上の歯止めが用意されています。今般のニコニコ動画の事例は運営者によるものでしたが、それ以外でもネットでの多くの人々の活動の結果として、有名どころで言えばスラムダンク盗作騒動は「著作権侵害であるかどうかを著作権者でない第3者が判断」して事実上の私刑を下した事例です。

    著作権を侵害した(と疑われた)者が自ら罪を認めたからよい、という話ではありません‐そんなことを言い出せば、非親告罪であっても侵害した(と疑われた)者が自ら認めた場合には何の問題もない、ということになってしまいます。既述のように冤罪の可能性は刑事裁判手続において排除不可能ですが、私刑だったら排除できるというものではなく、むしろ冤罪の危険性は高いのですから、より問題は深刻です。にもかかわらずその危険性に何ら言及がないというのは、片手落ちの議論であるといわざるを得ないでしょう。

    念のため申し添えれば、冤罪の可能性を懸念する声を無視してよいということをwebmasterは言いたいわけではありません。もしそれを懸念するなら、たとえば著作権者が事後的に著作物の使用・複製等を遡及的に許可できる制度の導入、なんてのはいいのではないかと思います。一言著作権者が「それはいいよ」と言えば、遡及的に違法性がなくなる‐この場合、構成要件を満たさなくなるのですから、親告罪とは違って完全な合法行為として法的に扱われます‐のですから、第三者の告発があったとしても、少なくとも警察・検察・裁判所において著作権者の意思が確認されるわけですし、そこで著作権者がやっぱり問題だと思うのであれば、事実上告訴があったものと観念できるでしょうし。

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