接待を違法化すべき。
守屋武昌前防衛事務次官(63)が在任中、防衛専門商社「山田洋行」元専務、宮崎元伸容疑者(69)側からわいろの認識をもって総額389万円に上るゴルフ旅行接待を妻とともに受けたとして、東京地検特捜部は28日午後、守屋容疑者と妻、幸子容疑者(56)を収賄容疑で逮捕した。特捜部は守屋容疑者が防衛装備品調達などで宮崎容疑者側に便宜を図ったとみて調べる。
300回を超えるゴルフ接待など元防衛官僚トップと業者との長年の癒着は汚職事件に発展した。特捜部は防衛利権を巡る不正の全容解明を進めるとみられる。
守屋前防衛事務次官が接待を受けていたことはかなり前から明らかになっていたわけですが、逮捕が今のタイミングになったのは、
(収賄、受託収賄及び事前収賄)
第197条 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。
2 (略)
という収賄罪の規定中、「その職務に関し」を満たすかどうかの判断に時間がかかったということでしょう。逆に言えば、現行法上、「職務に関」するものでなければ、接待は無論のこと、金品を受け取っても刑法上の収賄罪とはなりません。しかし、現在の公務員に対する世論からすれば、「職務に関し」なくとも収賄とする法改正をすべきであるとwebmasterは思います。
法技術的には、どこからが「賄賂を収受」するものなのかの判定が難しいことが問題になるのかもしれません。たとえば接待に関して、割り勘であれば「賄賂を収受」でないとしていいかと考えても、公務員がそれなりの価格のワインを空けて同席者は飲んでいない場合、ワイン代込みでの割り勘は、厳密には「賄賂の収受」でありましょう。しかしこの理屈をつきつめれば、大皿から取り分けた料理がどれだけかをいちいち量らないことには「賄賂の収受」の可能性があるということとなり、罪刑法定主義の観点からすれば微妙な話です。
#現行法の運用としては、起訴便宜主義でそのあたりは阿吽の呼吸なのでしょう。刑法は、口語化されたとはいえ記述振りとしては明治の法律ですから、最近の法律との規定の粗密のバランスとしては、若干粗きに過ぎるようにwebmasterには思われます。
こうした「神学論争」のために早急な整備が難しいというのであれば、次善の策として、国家公務員倫理法改正が考えられます。
経理局長の嶋口武彦(62)と官房長の守屋武昌(63)。会議前の立ち話だった。
「お前なあ、倫理規程ができたんだから、(業者からの接待は)いい加減気をつけろ」
入省年次が1年先輩の嶋口は、同年4月に出入り業者とのゴルフや飲食を禁じた自衛隊員倫理規程が施行されたことを踏まえ、こう切り出した。
庁内で毎日配布される幹部の行動予定表の中で、守屋の夜の予定の多さは際立っていた。毎晩1〜3回程度の「会合」がいつも記載されていた。その頻度からみて、すべて自己負担の会合ではないことは容易にうかがえた。
だが、嶋口の苦言に、守屋は平然とした顔で答えたという。
「嶋ちゃん、あんなのいくらでも抜け道があるんだよ」
「お前、官房長だろう。取り締まる立場なんだぞ」と嶋口は重ねて自覚を求めたが、守屋の態度は変わらなかった。
守屋は山田洋行元専務、宮崎元伸(69)から、飲食接待のほかに8年間で300回を超すゴルフ接待を受けていた。倫理規程の施行前後から、ゴルフの際は夫婦で偽名を使うようになっていた。守屋が言った「抜け道」とはこのことだったのか−。
産経「【防衛利権の闇(1)】夜の人脈誇示 自民領袖・議員、宴席にズラリ」(1/4)
これらの行為は、おそらくは国家公務員倫理法第6条の報告義務違反でしょう(裏は取ってませんが)。現行の同法は、報告義務違反について罰則が科されていないのですが、これについて罰則を科せば、接待を受けた段階で収賄として取り扱う場合とほぼ同様の効果が得られるのではないかと思います(単純収賄とのバランスを考えれば、5年以下の懲役というのがひとつの相場でしょうか)。





11月 30th, 2007 at 23:41:56
収賄罪を拡張した場合には国会議員や地方議員も引っかかってしまうことになります。
国家公務員倫理法を拡張する場合には、特別職との均衡をどう考えるかという問題があります。
そもそも、単純収賄罪の保護法益は、公務の国民からの信頼という抽象的なものでしかなく、5年以下の懲役というのも、かなり重いです。具体的な法益侵害がある加重収賄罪の危険犯にすぎないと考えることもできるのですから。
12月 9th, 2007 at 20:11:49
今、鍋象さんのお薦めの『メディア・コミュニケーション論』を、読みはじめて、その後ここでのご指導のあった、『メディアと政治』を参照させていただく予定です。
汚職とは、どこまでが許されるものかと問いたい現状です。
領収証や事務所経費のいきすぎた摘発による、政治家の自殺。
国民は、ニュースでの殺人事件のように、感覚が麻痺され、本当の正義を失った民衆、国家権力者の裁判官や警察まで信じられない、社会風潮の中、教育改革の基で、子どもたちが道徳の理解をされるのだろうか疑問です。
メディアの道徳的観念が問われる大きな根源の一つは、選挙ですよね。
12月 10th, 2007 at 1:03:27
僕はお奨めした記憶はありませんが・・・
ちなみに民間では汚職OKです。特別背任とかにならない限りは。つまり、お互いに会社の利益になるんなら接待はセーフ。お歳暮・お中元も全く問題なし。官は、組織としても利益を追求するところではないという事ですね。このギャップがあるので、民営化が喜ばれるのかなぁと思ったりします(邪推)。
問題の本質は、「金品の授受」ではなくて、「特定の人・組織への便宜を図る行為」なわけで、金品の授受がなくても本当は駄目なものが一杯あるのではないかと思ったりします。何とか会議の類に、商売上関係がある現職の経営者が出席して意見を述べたりするのは、もっと慎重にやって欲しいですね。利益誘導があれば金品の授受がなくても、本来は大問題になるはず。
12月 10th, 2007 at 6:36:32
民間の仕事は、最終的に収入とか利益とか金に関係する指標に変換されます。
官の仕事の大部分は、金銭的な指標に返還されないので、恣意的なことをやっても、結果報告で舌先三寸でなんとでもなるのではと思わざるを得ません。(歯止めが利かず大穴が開いてしまった)いい例はグリーンピアだと私は思います。
たとえ、民間が随意契約等で特定の会社に便宜をはかったとしても、結果として利益が減少する咎があります。便宜を図った人は、自分のパフォーマンス(業績報告)が悪化しサラリーが減少するのです。自動的に歯止めがかかる仕掛けになっています。
官にはこのフィードバックはないです。ある仕事を最小のコストでやったということを評価しません(できません)。とすれば、短期的には接待、長期的には天下り(での個人生活保証)をもたらしやすい便宜供与は、人間の性として罰則がない限り続くだろうと思います。
結論としては、汚職には厳しい罰則、天下りは禁止とするのが、正しい官の発注を行うためには必要だと思います。
12月 10th, 2007 at 15:55:44
コストの評価をするのは、議員さんの仕事じゃないかな。
何のために予算・決算を承認しているのだろうね。
12月 12th, 2007 at 7:00:22
議員さんにコスト意識があるのだったら、自分達の官舎は院ごとになきゃいけないとか、何十億もかけて建てようとかしないと思います(笑)
ワイドショー的な観点で、勿論誇張された見方(でも一面の姿としては真実だろうと確信している)なのでしょうけど、私に見えている議員さん達の姿とは、自分を応援してくれる団体に利益誘導するための代表者に過ぎません。
集票マシンに「お返し」をするための代表としての評価基準は、どれだけ自分達の選挙区に利益誘導できるかであって、利益誘導の結果をどれだけ安く誘導できたかではないです。つまり評価されない以上、やってないでしょうね(苦笑)
安く利益誘導することを議員のインセンティブにするためには、もっと地域の仕事は地域の金でまかなう施策にするのが先でしょうね。そうすれば、同じ仕事でも高止まりの仕事は(税金の値上げとなって)受けが悪くなり、落選するのでフィードバックがきくでしょう。
1月 4th, 2008 at 5:46:21
>raさん
収賄罪の場合、議員(の定義をどうするかという問題はありますが、そこはテクニカルな話ということで)を適用除外にすればよいのではないかと思います。
倫理法の罰則付加の場合、特別職については正直考えから漏らしていました。確かになかなか難しい話になってしまいますね・・・。
>魚さん
現状の先に何があるのかは、私にもよくわかりません。歴史の最先端ではあると思うのですが、果たしてその先に新たな制度を切り開くのか、壮大な失敗の実験として逆コースの端緒となるのか・・・。
>鍋象さん
えーっと、経済財政諮問会議の民間ぎいn(ry
>民間平社員さん
基本的には、政には選挙のフィードバックがあり、官には政からの牽制のフィードバックがある、ということとなろうかと存じます。グリーンピアの例は、ああいった形で公的年金の現役世代への還元を行うことにつき、そういった単一論点のみを取り出した選挙はなく、選挙に勝った側はいわば白地手形を受け取った状態になってしまうことに起因するのだと思います。となると、政は官に対して選挙で勝ったとの正統性を背景に政策執行を迫り、その政策が国民的に反発を受けると、当該政策を後押しした個別の政治家に対してではなく、その政策を所掌する官に対して、あたかもフィードバックがないかのように見えてしまうと。
では、個別の政策について国民の信認を確認する手続があればよいかといえば、代議制(に限らず、たとえば株式会社における取締役なども同じことですが)というものは、包括的な委託によってコストを下げるというメリットがあり、具体的には毎年通常国会に提出される200本あまりの法案についていちいち国民投票なんかやってられませんよね、ということもあるわけで、なかなかよろずめでたしという解はないといわざるを得ないのでしょう。
なお、個別の問題について国会を弁護するなら、議員宿舎については、衆参両院はそれぞれ独立の存在であるという憲法上の要請があり、それこそ現在のような衆参の多数派が異なる場合において、両院合計での多数派があたかも一院制の多数派のように振舞うことを抑止する観点から、法制局や調査室その他もろもろの事務組織はすべてそれぞれについて独自に設けられています。そうした全体のあり方の中で議員宿舎があるわけで、それだけを取り出すのも木を見て森を見ずということかな、と思います。
公共事業等のコストについては、従来は特殊な技能等が必要との理由で随意契約ないし指名競争入札であったものが、価格で決まる一般競争入札へとシフトし、かといって価格だけでは問題がある(いわゆる「安かろう悪かろう」の温床となる)事例が出てきたことから、現時点では技術力等も定量化して選定に用いる総合評価方式の導入が試験的に進められています。遅々としたものではあるかもしれませんが、それなりに問題意識は共有され、人知で可能な範囲においてそれなりに対応が進められているものとご理解ください。
1月 4th, 2008 at 23:37:03
まあ、マスコミや国会で問題化したという事は、イコール解決への道が始まったという事で、取り上げられないまま待ち行列に入っているものの方が問題としては深刻なんだと思います。
>民間ぎいn(ry」
全く同感。
そういや、金融なんちゃらのタスクフォースでしたか。あれなんか、直接的な利害関係者が現職のまま重要情報にアクセスできかつ営業上も恫喝に使えた典型例として、マスコミが突っつくべきものじゃないかと思ったりして。
1月 6th, 2008 at 7:46:36
>鍋象さん
思いっきり個人の特定が可能になってきていますが(笑)、何ちゃらの場合、それに先立って某マニュアルの策定に携わったあたりにそもそもの原因があるように思います。