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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2007-01-10
■ [government]防衛「省」の意義
「庁」が「省」になることのメリットとして、次のような解説がまことしやかになされているわけですが、
防衛省はこれまでの内閣府の外局から独立したことで、内閣への閣議開催の要求や財務省への予算要求を内閣府を通さずに直接できるようになった。英語表記も「Agency(庁)」から「Ministry(省)」に変わった。
「内閣府を通」すといってもあくまで形式的な話で、そのために何か実際に困っていることはないはずです。ひょっとしたら片手の指で足りるぐらいの人数の担当が、若干決裁文書関連で手間が増えているかもしれませんが(笑)。法案提出(代表的閣議案件です。為念)の最大のハードルである内閣法制局審査と与党根回しにしても防衛庁職員が直接やっているのであって内閣府はノータッチですし(政治的重要性等の理由で官邸があれこれ絡むことはあるでしょうけれど、それは「省」でも同じことです)、予算折衝だってそれは変わりません。
一応他の証言も載せておきます。
【質問】
防衛庁が防衛省になると,どういう変化が起こるのですか?【回答】
石破の目に感動の涙が流れる.あと,防衛庁は元々独立性が高いのに,シビリアン・コントロール等の問題のために省にされなかった.
これまでは内閣府の外局という立場だった.
で,現在,これは名目だけそうなっている,という状態.
なので省に昇格するというよりは,今までの矛盾を是正し,実態に即した形にするのが目的.
庁よりは予算についてある程度優遇を受けることができ,なおかつ政府内での発言力も向上するかもしれない.もっとも,省の中でも末席に位置されるが.大きく変わる部分は,国際協力支援に基く後方支援活動が,自衛隊の本来業務になるという点.
ただしこれは,省になったからそうなるというのではなく,省への昇格と抱き合わせで,そういうふうに自衛隊法を変えるから.直接の相関関係はない.また,防衛施設庁が2007年度で廃止される点も大きな変化.防衛省内の一組織に変わる.
しかしこちらも,談合事件の影響によるものなので,直接の相関関係はない.
若干異見を付すなら、「庁よりは予算についてある程度優遇を受けることができ,なおかつ政府内での発言力も向上するかもしれない.もっとも,省の中でも末席に位置されるが」というのはまったくあり得ない(といいますか、「省」か「庁」かには関係ない)ことだとwebmasterは思います。例えば、
- 警察「庁」は治安関係の業務において極めて影響力が強いこと(それこそ防衛省について言えば、警察予備隊から始まったという自衛隊の経緯上、特にその初期にはさまざまな警察流がまかり通っていた由)
- 末席というのは建制順(府省庁間では国家行政組織法別表第一に掲げられた順、府省庁内では各設置法に規定されている順)で考えればということでしょうけれど、それは極めて形式的な話であること(省庁再編前の筆頭であった法務省の力はどうだったのよとか、旧通産省・現経産省は建制順では後ろの方ですけれど力は強いですね、といった事例を見れば・・・)
という実態があるわけです。
ではなぜこれが語られているのか、おそらくは担当が「庁から省になると、実態として何が変わるのですか?」とメディア等から聞かれて、これぐらいしか思いつかないので仕方なくそう答えた、ということではないかと思います。現場では何も変わりませんよ、では格好がつかないですからねぇ(笑)。これまた現場の声を念のため掲載しておきます。
【珍説】
省への格上げの一番のメリットは現場の人の指揮の向上だと思います.(原文ママ)【事実】
おそらく「指揮」ではなく「士気」かな?
それで意味が通じる.で,現場はそんなので士気は上がりませんが何か?
実際に現場に関係がないといっている人間が居る.そう言ってるだけだ..
そしてそれは私の知り合いの大半が同じ見解.ちなみに2000名あれば母集団としては十分.
そして私は2000名じゃきかないだけの人数と意見交換してるが?まぁどっちかと言うと,防衛庁の対外的(対他省庁)な実質的な地位と,現状違う格付け地位の適正化でしょうね.
相変わらず省の中では肩身が狭いでしょうが.士気を上げるだけだったら,コピー用紙の裏面利用と定数打ち切りを無くしてくれるだけで士気は上がったろうなぁ・・・
他に思いつく士気向上策は・・・
- 青森だからって,食事のフルーツもジュースもりんご一色は止めてほしい
- パンツやシャツは自腹でもいいから,作業着はせめて頻繁に交換できるようにして欲しい,PXで買うと高い
- サイトまでの草刈くらい民間委託できんのか?
- 隊舎に越冬のカメムシが入らないようにしてほしい
・・・どうですか? 十数年前に比べて,いくらか改善されましたか?
結局は、シンボリックな政治的意義がもっとも大きいのだとwebmasterは思います。上記はいわゆる制服組の意見ですが、これは背広組でも変わらないはずです。といいますか、特殊法人等に関連する行革などではよく「看板の架け替えに過ぎない」なんて批判があるわけですが、なんで本件ではそうした声がでてこないのやら(笑)。本件こそ「看板の架け替え」の最たるものなんですけれどもねぇ。
念のため申し上げるなら、以上は防衛庁がいわゆる大臣庁(厳密にはその長官に国務大臣が充てられる庁を指しますが、担当大臣が置かれている金融庁も実質的にそうだと言ってよいでしょう)であったためで、今度なくなってしまう社会保険庁のように長官が事務官(官僚)である庁であったならば、省=専任大臣をいただくということで、大いに状況は変わったことでしょう。事務官がトップでは、そのトップは所属する府省の事務官のトップ(=事務次官)よりも下、ということになってしまいますので。
そんなにシビリアンコントロールが心配なんなら、憲兵隊(あるいはSS)でも付ければイイのに。それか、いっそのこと某近隣諸国のように、自衛隊を自民党直属にしてしまうとか。これならばシビリアンコントロールの問題も起こらないでせう。
>truly_false様
日本は、維新の際に長州の武断勢力が陸軍中枢を占めて、以後、軍閥と対抗勢力の権力闘争で歴史が動いてきたので、軍部への警戒感は強いのですよね。
それに、戦後の体制下では、あまり軍部に優秀な人材を集めなかったので、軍部が実力をもって正当な影響力を行使すると、劣化した組織に国政を委ねることになりかねないという虞もあります。
また、もともとシビリアンコントロールの理念は、政治家と軍部を分離することですので、政党が私兵を持つのではシビリアンコントロールに反しますね。
いや、それ以上に、憲兵(MP)と親衛隊(SS)は、目的も性格も異なりますね。
日本で、憲兵が抑圧の象徴とされるのは、東条英機が、軍隊内の秩序維持を任務とする東京憲兵隊を政治犯狩りに動員したためで、本来的意味の憲兵なら自衛隊にも「警務官」というのが……(ぶつぶつ)
(あと旧軍では、植民地や海外領土の治安維持は普通警察ではなく憲兵が主体になっていたので、アジア各国の皆様が憲兵を憎む原因になってますが)
まあ、結論としては、政治家は全員徴兵して戦地に送れということで(って何で?Σ(°Д°))
※ローマでは、政治家は(ほぼ)全員軍団指揮官を兼ねていたという点で、近代民主国の政治家よりは血を流していたのは潔い
>看板の架け替え
大臣が書くのが慣例とはいえ......
もっと上手な人が書けばいいのに。
なんて意見も目にしました。
省移行に伴う防衛予算増加(=軍拡)の可能性は、国内の「リベラル」な人々及び近隣国のメディアでも言及されています。
が、実際は「そんなもんで増えるんなら苦労しねーよ」という声が市ヶ谷から聞こえてきそうです。
また、「大臣」の呼称についても、ご指摘のように防衛庁は大臣庁であったため、以前から部内では「うちの大臣が〜」と呼んできたわけで、この点も変わりはありません。
>truly_falseさん
あと、政治将校とか(笑)。
>西麻布夢彦さん
戦前の場合、軍部大臣武官制が問題だったのでしょう。現役武官制のみが問題だったかのように語られていますが、予備役だったらいいというわけでもないので。総理の指揮権があったならば話はまた違っていたのでしょうけれども。
で、ハインライン「宇宙の戦士」のように、軍務経験者のみに選挙権を与えるということでFA(笑)?
>kumakuma1967さん
初代大臣ご自身の筆跡を知るものではありませんが、一般論として言えば、毛筆に慣れない政治家が増えるほど、その問題は今後深刻化していくのでしょう。それほど名称が変わるような事態が生じて欲しいわけではありませんが(笑)。
>Satsukiさん
そんなに実質的な意味があるならば、もっと前に何とかなっていたんでしょうねぇ。
ところでハンドルから察するに、ひょっとして担当主計官経験者の某先生なのでしょうか(笑)?
>毛筆に慣れない
将来、大臣自ら毛筆風AAを揮毫したりするんでしょうか...妙に志気が上がったりして。
>毛筆
それまでの看板は市ヶ谷移転当時の瓦力防衛庁長官の揮毫だとか。なかなか達筆です。
最近では、「為公会」発足時の麻生「会長」の揮毫はなかなかのものだと思いました。
>bewaadさん
いえ、某女史とは何の関係もありません(笑)
某女史が現役官僚だった頃にご尊顔を拝したことがあるくらいで。
> 戦前の場合、軍部大臣武官制が問題だったのでしょう。
ああ、確かに……
とはいえ、それが「問題」なのは、文民統制と民主主義の観点からであって、戦前日本の価値観では「問題」でもなんでもないんですよね。
(タテマエとしては天皇の"私的"諮問機関である内閣に軍事専門家を送り込み寧かくの機能を強化するもの。ホンネは内閣による一方的な軍事費削減を牽制するもの)
むしろ、陸軍大学出の人にしてみれば、東大なんて言う二流の大学を出たおぼっっちゃんが政党政治家として国政を壟断し、財閥と結託して庶民を搾取していることの方が憂うべきことだったのでしょう。
(それ以上に、大衆迎合的な軍縮=緊縮財政を牽制することが喫緊の課題でしたが)
実際に人材の輩出状況を見ても、戦前は陸軍大学出で台湾総督になった人が、軍政両面での最高のエリートだったわけですし……
TVのドキュメンタリーなどで、上海事変後の戦線拡大を「軍(現場)の独走」と批判する傾向もありますが、攻めてきた敵を撃退したら速やかに追撃して、可能なら本拠地を叩くのは基本セオリーなので、あながち現場の功名心や出世欲とも言い切れません。
(問題は国民党の焦土作戦を読み切れなかったことと、米国をわざわざ挑発してニ正面作戦にしてしまったことですかね?)
旧軍が負けたのは、軍部が政党政治家を「素人」と考え、その判断に信頼を置けなかったことも無視できませんね。
というわけで、「軍務経験者のみに選挙権を与える」というのはOKです。(えー)
で、帝大やA校出た人の徴兵配属先は、厚木か横田勤務の通信兵・主計兵でFAですよね?(って、学歴差別かよ!Σ(°Д°))
失敬、誤字を修正します。
×:寧かく(L6)
○:内閣
> 帝大やA校出た人の徴兵配属先は、厚木か横田勤務の通信兵・主計兵でFA
日本陸軍では帝大出でも2等兵から最前線勤務ありでした。だから、軍隊経験者のインテリは陸軍嫌いでした。ちなみに海軍は学歴差別ありあり。
自衛隊は、学歴は勤務地・職種に特に影響ありません。
戦前の軍部大臣武官制は、「大臣出さないよ」と軍部がいえば、内閣を組閣できないのですが、ちなみに戦前の日本の価値観でもかなり問題ある行為だと思いますよ。
>kumakuma1967さん
ギャル文字になったりして(笑)。
>Satsukiさん
揮毫といえば、Wikipediaの宮澤喜一の項は傑作です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E6%BE%A4%E5%96%9C%E4%B8%80
なお、大先生とは無関係とおうかがいし、ほっとしてます(笑)。
>西麻布夢彦さん
あれはもともと、山縣有朋が他の元老に対して自らの基盤を守るためにやったようなものですよね>軍部大臣武官制。統帥権独立と、いずれか一方のみならばまだよかったのですが、1+1が5にも10にもなる相乗効果が出てしまいました。
上海事変は、やっぱり満洲事変で板垣やら石原やらが無罪になったことの帰結でしょう。満洲事変で厳しく処罰していれば、ずいぶんと状況は変わったように思います。
>Lieutenantさん
確かに短現と予備士官学校生を比べると、ずいぶんと違いがありますよね>陸海軍。まあ日本に限らず、どこでもそういう傾向は見られると思いますが。
ども,所沢です.
非常に興味深く拝見させていただきました.
ただ,日本の官僚制度については無知なもので,貴氏の申されます「実態」が確認できるデータは,どのようにすれば得られるでしょうか?
FAQのさらなる記述正確性のため,お教え願えれば幸いに存じます.
最後になりますが,本年もどうぞよろしくお願い申し上げます.
>消印所沢さん
多分霞が関住人に「『格』の順位を付けるとどうなりますか?」と聞いたアンケートは存在しないので(笑)、エントリに書いたものを若干補足するぐらいしかできませんが、
○「庁」についていえば、
‐エントリで書いた警察庁のほか、金融庁も定員の配分や法案の提出数において府省よりも多い状態にあり、
‐警察庁について補足するなら、事務方トップである官房副長官を出したり、総理秘書官を出したりできる(事務方の総理秘書官は、外務省、財務省、経済産業省、警察庁から出ます)、
といったものがあります。
○建制順についていえば、
<省庁再編前>
総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省、自治省
<現在>
内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省
といった状況にありますが、エントリで書いた法務省や経済産業省(旧通商産業省)のほか、省庁再編前ですと自治省の順位は最後尾(これも当初は庁だったものが省になったので、末尾に追加されたためです)ですが、官房副長官を出すなど「格」は高いですし、他方で順位では前の方にある文部科学省(旧文部省)はそれほどでもない、といったことがあります。
また、先にランキングはないと申し上げましたが、国I受験者が2ちゃんの「公務員試験」板でランキングスレに書き込みをしていまして、そこでは次のようなものがあるわけですが、おおむね霞が関での感触と似通っていると思います(個人的にはいくつか違和感を覚えますが、それは個人差という部分もあるでしょう)。
Aa1 総務(自治) 外務 警察 財務 経産
Aa2 厚労 文科 金融
Aa3 内閣(経) 防衛
A1 内閣(法) 国交 総務(その他)
A2 環境 農水
A3 人事 会計
Baa1 法務
>サイトまでの草刈くらい民間委託できんのか?
ヤギを飼え
ヤギによる傾斜草地の防火帯づくり
http://konarc.naro.affrc.go.jp/kyushu_seika/2001/2001127.html
増えすぎたら
順調に推移するヤギ生産(フィリピン)
http://lin.lin.go.jp/alic/week/2005/nov/695sp.htm
もっと調べたければ
検索システム農林一号
http://seeker.affrc.go.jp/seek.html
ヤギ site:http://lin.lin.go.jp/alic/
>msxさん
???
貴氏のご意見を元に改訂させていただきました.
http://mltr.e-city.tv/faq05k.html#07227
なお,改訂に際しまして,貴氏のコメントを少々いじった上で使わせていただきました.
もし不都合があれば削除いたしますのでお申し出ください.
>消印所沢さん
掲載いただきありがとうございます。何ら不都合はございません。
なお、同業者でも私とは異なり、次のような意見をお持ちの方もいらっしゃいます。中には違う見方もあるということで。
http://blog.goo.ne.jp/yh470/e/bfebadead1c05a06ab74a68696f952ee
http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0701.shtml#0113
これを読んでの私の見解は、後者で書かれている「他方、環境省への昇格の背景には環境問題対策の重要性の高まりがあったわけで、指摘されているような政治的効果は、実は省昇格とは疑似相関(spurious correlation)の関係にあるに過ぎない、ないしは省昇格に起因する部分は必ずしも大きくない、という可能性もないではない」というように思いますが、(続きの部分で書かれているように)検証できるはずもなく、ここは結論が出ないのだろうな、とは思います。
追加情報ありがとうございます.
収録させていただきました.
>消印所沢さん
丁寧なフォローありがとうございました。