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2007-02-04
■ [politics][government]官房長官の役割
昨日取り上げたBaatarismさんのエントリで引用されていたかんべえさんのテキストに、気になる点がありました。
〇その一方で、ホワイトカラー・エグゼンプションをめぐる一連の騒動がなかったならば、この発言はスルーされていただろうな、とも思う。年明けの頃から、厚生労働省はWCE問題に強い意欲を見せていたが、与党内には慎重論があった。選挙にマイナスだと判断するのなら、早めに葬り去っておけばよかった。しかしこの問題について、官邸は調整機能を発揮することができず、外遊中の安倍総理が帰国するのをひたすら待っていた。そして安倍総理の帰国後、1日たってから(おそらく、この間に安倍さんが勉強したのでしょう)通常国会に上程しないという決断を下した。このことで与党が失った機会は大きなものがある。
〇ホントに悪いのは、調整機能を果たさなかった塩崎官房長官であると思います。おそらく塩崎さんが言ったのでは、柳沢厚生労働大臣は聞く耳を持たなかったのでしょう。例えばこれが福田官房長官であれば、「WCEは時期尚早」と早めに葬り去ることができたかもしれない。が、何週間も店ざらしとなり、週末の政治番組ではWCEが何度も叩かれることとなった。結果として悪者になったのが、柳沢大臣です。
〇そこへお誂えむきに登場したのが「女は産む機械」発言。森元総理の「神の国」発言がそうだったように、「こいつを辞めさせろ」という思いが小さな失言を拡大してしまっている。要は柳沢さんはお気の毒ということであって、悪いのは官邸の調整機能の不十分であるとワシは思うのですけどね。もっとも、実質副総理の官房長官に、あんな軽量級を据えたのが失敗だったと言えばそれまでなのですが。
かんべえの不規則発言(2/1付)(webmaster注:しばらくすると2月のアーカイヴに収録されるでしょう(本日現在ではまだ転載されていません))
何が気になるのかといえば、塩崎官房長官が「軽量級」なのかということです。一般に国会議員の軽重は当選回数で計りますが、そのプロフィールをみると当選5回、うち1回は参議院でのものなので衆議院で5回よりも若干格上(参議院の方が任期が長いので)といった感じでしょう。
例えばこれを、小泉政権時代の各官房長官と比較すれば次のとおりです。
- 福田康夫
- 就任時で当選4回
- 細田博之
- 就任時で当選5回(webmaster注:プロフィールでは平成12年の選挙で当選4回とまでしか示されていませんが、その後に平成15年に選挙がありました)
- 安倍晋三
- 就任時で当選5回(webmaster注:当選回数は記載されていませんが、1993年初当選とは細田元官房長官と同期です)
当選回数を物差しにする限り、塩崎官房長官を軽量級というのであれば小泉政権を通じて皆「軽量級」だったということになってしまいます。官邸の調整機能がろくなものではないというのはwebmasterも同意ですが、その理由は軽重ではなく、官房長官が黒子に徹して調整を一手に引き受けるというのは一つの解法ですけれど、塩崎長官はそのようなキャラでもありませんし
と以前書いたように、彼の資質によるものでしょう。
かく理由は異なれど、求められる役割を果たすことができない官房長官を据えたのが失敗だという点においては、かんべえさんとwebmasterに違いはありません。ではなぜ失敗したのか、安倍総理の人を見る目ということもあるでしょうけれど、それ以上に彼の経歴によるところが大きいのではないかと思えてなりません。
安倍総理は、ただひとつのポストを除いて閣僚経験のなきまま総理の座につきました。ということは、トップとして組織を率いた経験がないということになります。トップとして組織を切り盛りした経験があれば、舞台裏で汗をかく汚れ役が組織には必要だということは、身にしみてわかるはずです。そうした経験がなく、舞台裏の重要性を理解しないまま、外部から派手に活躍するトップ(=小泉総理)の光の当たる部分だけを手本としてしまったのではないでしょうか。
先に「ただひとつのポストを除いて」と書きましたが、それは既述のように官房長官です。ところが、官房長官はあくまで官邸のナンバーツーであって、トップに立たない唯一の閣僚です。官房長官の経験は、トップとして自らを支える人間はどういう人間でなければならないか、ということを知るにはあまり役立たないといえましょう。
とはいえ、自らが官房長官として、総理を舞台裏で支えた経験があれば、上から見ているのではないので見方が偏るのは否めないにせよ、ある程度その重要性を理解できるのでは、というご意見もあるでしょう。しかし不幸なことに、安倍総理が官房長官になったのは郵政解散の後、つまり小泉前総理の威令が政府与党の隅々にまで行き渡り、その意向をかざせば苦労なく調整できてしまう状況にありました。むしろその経験が、官房長官に求められる調整能力を見くびらせる原因になってしまったようにwebmasterには見えます。
#官房副長官時代に、上司である福田元官房長官の仕事振りをきちんと見ていれば、ある程度はわかったはずなのですが、そうなっていないのは、きちんと見ていなかったのか、それとも、見ていても理解できなかったのか・・・。
皮肉な言い方をするなら、小泉政権の末期において、安倍前官房長官の代わりに塩崎官房長官が就任していたとしても、大過なく務め上げることが可能だったのでしょう。しかし安倍政権においては、安倍前官房長官や塩崎官房長官をはるかに超える調整能力を持つ者であることが、官房長官には求められているのです。なにせ、各省庁の調整云々を言う前に、補佐官5人を筆頭に官邸の中でまずは調整をしなければならないのですから。