1ヶ月間だけ、思い切りがんばれば。より引用:
- 現状を変える一発逆転があると思うかもしれないけど、どうやら近道はないみたいです。
- 毎日少しずつ、少しずつ努力を積み重ねるしかない。まったく人生ってやつは。まったく。
違うよ。全然違うよ。
「現状を変える一発逆転」はいたるところにある。
多くの人は、勇気がなかったり、ぼんやりと生きていたりするために、
一発逆転のチャンスが目の前を通り過ぎるのを
見過ごしてしまっているだけだ。
むしろ、「近道を探す努力」こそが正しい努力であって、
「近道や一発逆転を狙わないで地道な努力を積み重ねる」という姿勢が、
自分と周囲を不幸にし、
格差と貧困を生み出し、日本を衰退させてきた。
それは、「ハゲタカ」というレッテルを貼られて悪者扱いされてきた人々が
どのようにして人々に豊かさをもたらし、何十億ものお金を稼いでいるのかを見るとよく分かる。
たとえば、3000万円の工作機械が故障したとする。
仕組みが複雑すぎて、どこが故障したのか普通のエンジニアには分からない。
だから直せない。だから、その工作機械はほとんど価値が無くなった。
そこで、その工作機械の持ち主は、その工作機械を廃棄処分することにした。
そこに、ハゲタカエンジニアがやってきて、その工作機械を30万円で買い取ってくれることになった。
その機械の持ち主は、捨てようと思っていた機械を30万円で買い取ってもらったので、
ハッピーな気分だった。
ハゲタカエンジニアは、その工作機械の複雑怪奇な構造を理解できるだけの
高度な知能と知識とセンスを持っていたので、どこが故障しているのかを5分で突き止め、
5分で修理した。
これによって、たった10分で、無価値なゴミでしかなかった壊れた工作機械が、
3000万円の価値のある工作機械に生まれ変わった。
時給1億8千万円分の仕事をしたことになる。
これは詐欺でも錬金術でもない。純粋な価値創造労働だ。
(略)
その、分水嶺、運命の分かれ道を、意識を研ぎ澄まして見極める努力こそが、
本当に効果的な努力なのではないだろうか。
「「地道な努力」よりも、はるかに人生を好転させる努力の仕方」(@分裂勘違い君劇場1/11付)(webmaster注:強調は、原文ではフォント拡大です。また、注記は略しました)
趣旨には大いに賛同する(ただし、日本経済の低迷の原因と捉える部分を除く)のですが、fromdusktildawnさんの「分水嶺、運命の分かれ道を、意識して研ぎ澄まして見極める努力」とは、そのタイトルの「人生を好転させる努力の仕方」からすると、若干不親切ではなかろうかと思います。どうすれば「意識を研ぎ澄まして見極める」ことができるのか不明ですし、その結果、自分がそうだと思った努力が本当にそうであるかどうかが判断できません。fromdusktildawnさんのおっしゃるような努力だと思っていたら実は違っていた、では、努力の為の努力にもなってしまいかねません。
そこで、どのような努力で「近道」が探せるのか、webmasterが公開してみせましょう!
まずは経済学の基礎的な概念を紐解きます‐完全競争市場においては、生産者の利潤はゼロ以下となります(ただし、機会費用は会計上費用にカウントされないので、会計上は利潤が生まれます)。では完全競争市場とは何かといえば、次のとおりです。
完全競争市場は、(1)経済主体の多数性、(2)財の同質性、(3)情報の完全性、(4)企業の参入・退出の自由性という4つの条件を満たす。
市場に多数の売り手と買い手が存在するという条件(1)と、財が同質で価格情報などが完全に知れ渡っている条件((2)、(3))下では、一企業のみが他よりも高い価格を付ければ、その企業の財はまったく売れなくなる。そこで企業は市場で決定された価格を与えられたものとして、つまりプライス・テイカ−として行動すれば、利潤の最大化をもたらす生産量を決定できる。これは売り手が多数おり、一企業の供給量は市場規模からすれば微少で価格などに影響を与えないからである。よって、一企業としては現行の価格より安く売る必要もない。これは図表に描かれたように、ある財に対する市場全体の需要曲線が右下がりであっても、一企業に対する需要曲線は水平になることを示している。
第7回 市場メカニズムの効率性と限界(webmaster注:括弧つき数字は、原文では丸付き数字です)
「完全競争市場においては、生産者の利潤はゼロ以下となります」という命題の対偶をとれば、「生産者の利潤がプラスであるならば、完全競争市場でない市場においてです」ということとなります。すなわち、上記引用の4条件のいずれかが満たされていない市場を見つけることができれば、大儲けができるわけです。「近道」とは、これに他なりません。
(1)の経済主体の多数性が満たされていない市場とは、独占が典型例です。(4)の企業の参入・退出の自由性が満たされていない市場とは、銀行やテレビ局といった免許業種が典型例です。いずれにおいても、そこで働く人々の給与が高いことには、きちんとした理由があるわけですが、いかんせんこれらは個人の努力によって見出せる「近道」ではありません。
個人の努力によって見つけられる「近道」とは、よって残る2つ、(2)の財の同質性が満たされていない市場か、(3)の情報の完全性が満たされていない市場です。(2)の財の同質性とは、buzzwordでいえばレッドオーシャンとかコモディティ化と言われるもので、誰からも同じものが買えるならば、他人と同じ価格でないと売れないということとなります。これを差別化して、他の人からは買えないようなものを売ることができれば、他の人よりも高い値段で似たようなものを売ることができます。わかりやすくはブランド商品で、たとえばエルメスのバーキンが数百万円で売れるのは、1万円のバッグより数百倍使えるからではなく、ひとえにエルメスのバーキンだからに他なりません。
(3)の情報の完全性とは、fromdusktildawnさんが挙げた事例が当てはまります。誰もが修理方法を知っている(=情報が完全である)ならば、30万円で買って3,000万円で売ることは不可能ですが、「ハゲタカエンジニア」しか知らないからこそ、そのような芸当が可能になるのです。他に知る人がいないことをどのように見つけ、それをいかに商売につなげるかについては、イアン・エアーズ「その数学が戦略を決める」に豊富な実例がありますので、それを参考にしていただければ(野球好きな方なら、マイケル・ルイス「マネーボール」もお薦めです)。
ただし注意が必要なのは、同書に紹介されている事例は既に他に知る人がいるものですし、同書で描かれた手法で他に知る人がいないことを見つけようとする努力は世界中で行われています。となれば、「近道」としては、同書(に限らず類書)にて紹介されていない新しい手法を見つけるか、それとも同じ手法で他人より早く新たな情報を発掘するのか、いずれかが必要となります。
ま、楽してお金は稼げない、ということですね!