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  • 09/28/2007 (7:19 am)

    ルビと発音記号

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     ブッシュ米大統領が25日行った国連総会演説の草稿に、“発音記号”が添えられていたことが発覚した。国連が誤ってウェブサイトに草稿を一時掲載してしまったことで判明。同大統領は、難しい発音や語句が苦手とされ、度重なる言い間違えは“ブッシズム”との造語まで生んだ。最近では出席した「APEC(アジア太平洋協力会議)」を「OPEC(石油輸出機構)」とやり、全世界から失笑を買ったばかりだった。

     草稿は、発音しづらい固有名詞に、アルファベットで発音を表記。キルギス、モーリタニア、カラカス(ベネズエラの首都)、といった国名や地名のほか、8月に米国で会談したばかりの「サルコジ(フランス大統領)」にまで「sar-KO-zee」と、“発音記号”が付されていた。

    デイリースポーツ「米大統領の“カンニング”バレた」

    ルビをふるなんてことは日本の国会の大臣答b(ry

    まあしかし、英語流の発音でない他言語であれば、仕方がないんじゃないでしょうか。ヤンキースの松井選手も、渡米当初は”hideki”を「ハイデキ」と発音されたこともあるようですが、イングリッシュ・ネイティヴからすれば、「ヒデキ」と発音して欲しければ”hideki”なんてスペルにするなとも思うのでしょうし。

    他方で気になったのは、引用部分で言えば”sar-KO-zee”を発音記号とすることの是非で、英語教育において発音記号といえば辞書に載っているアレが普通だと思うのですが、まさか記者が義務教育も受けていないなんてことはないはずなのに、と。デイリーの記事ならばそうした通例の発音記号ではないとわかりますが、共同の配信では、

    大統領、くれぐれも正しい発音を−。難しい発音が苦手とされるブッシュ米大統領が25日行った国連総会演説の草稿に、“発音記号”が添えられていたことが発覚した。国連が誤ってウェブサイトに草稿を一時掲載してしまったことで判明、ホワイトハウスはおかんむりだ。

     発音しづらい固有名詞に、アルファベットでさらに発音を表記していた。

     草稿にはキルギス、モーリタニア、カラカス(ベネズエラの首都)、ハラレ(ジンバブエの首都)といった国名や地名のほか「ムガベ(ジンバブエ大統領)」、8月に米国で会談したばかりの「サルコジ(フランス大統領)」にまで“発音記号”が付されていた。

    東京(共同)「正しく読んで大統領! 演説草稿に“発音記号”」

    となっており、「アルファベットでさらに発音を表記」で推測できないわけではないですが、不適切な表記ではないでしょうか。現にwebmasterは、通例の発音記号が併記されていたのだと思い、ブッシュ大統領がそれをすらすら読めるとは意外だなぁと、一時的に誤って見直しもしてしまいましたし。

    09/21/2007 (6:40 am)

    「高根の花」でも問題ない?

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    ネットには掲載されていないのですが、基準地価に関する毎日新聞の記事の見出しにおいて、「職住近接 高根の花」というものがありました。もちろん本来は「高嶺の花」で、「嶺」が常用漢字でないがゆえの代用とされているものですが、意味が全く違うではないか、と違和感を持ちました。

    たかね 0 【高▼嶺/高根】
    高い峰。高い山のいただき。
    「富士の―」

    ――の花
    見えてはいるが手の届かないもの。とうてい自分のものにはできないもの。
    「所詮彼女は―」

    たかね 0 【高▼嶺/高根】 - goo 辞書

    高い山のいただきに見える花だからこそ意味を成すのであって、そもそも高い根って何? ということとなり、読みが同じならいいというものではないだろう、代用するなら「峰」ではないか、と思ったのです。

    各紙とも同じ代用をしています

    しかし、話はそうは単純ではありませんでした。「嶺」の「ね」とは何かを探ると、次のとおりです。

    みね 2 【峰/▼嶺】
    〔「み(御)」は接頭語〕
    (1)山のひときわ高くなった所。山のいただき。頂上。山頂。ね。
    「―から吹きおろす風」

    みね 2 【峰/▼嶺】 - goo 辞書

    ね 0 【▼嶺/▽峰】
    山の頂。みね。
    「―に立つ雲を見つつ偲はせ/万葉 3515」

    ね 0 【▼嶺/▽峰】 - goo 辞書

    つまりはもともと「ね」という大和言葉があり、それに接頭語「み」がついて「みね」となり、それに「峰(峯)」や「嶺」という漢字が当てられていることとなります。「みね」に「根」を当てるのは論外であるとしても、「ね」という大和言葉に「根」という漢字を当て、それが支那語としての「根」を超えて大和言葉の「ね」全体を表すものとして用いられていると考えられるならば、必ずしも誤用ではないと考えられるでしょう。

    では、そのような用法は存在したのでしょうか?

    島根県は、県成立時の県庁所在地であった郡名「島根郡(現在の松江市)」に由来する。

    「島根」は、『藤原宮木簡』に「嶋根郡」とあり、『和名抄』に「島根郡」の名が見られる。

    「島根」の地名は、島根半島の地形に由来し、「しまね(島嶺)」で島状の嶺となっていることからか、「しま」も「ね」も「高くなった所」の意味と考えられる。

    島根県 - 地名由来辞典

    比叡の山、比良の高根より、辛崎の松は霞をこめて、城あり、橋あり、釣たるる舟あり、笠取に通ふ木樵の声、ふもとの小田に早苗とる歌、蛍飛びかふ夕闇の空に水鶏のたたく音、美景物として足らずといふことなし。

    松尾芭蕉「幻住庵の記」

    帝、紫微の宮に坐し群仙を會して曰く東方は成果の鍾まるところ坤輿の中樞なりそれ太山を作りて永く萬邦の鎭となすべしと、一夜に大地を擘して此の不二の高根を成る、史あるの前幾千萬載斯の山既に秀でゝ靈あり、惟れ考靈帝の御宇、東海の氣漸く清明に始めて斯の山を中霄に見る、頂は分れて八峯を成しその雪を戴くが為めに宛も玉芙蓉の如し、爾來ニ千年、仰げばいや高く望めばいや尊し、歌仙も其の高きさまを歌ひ盡すこと能はず畫聖も其の尊き形を畫き盡すこと能はず、岳神は容易に秘奥の符を示さずして、唯だ人の獨詣して冥契を得るに任せ、三千年にして一人之を歌ふものあり五千年にして一人之を畫くものあるを俟つ

    遲塚麗水「登山記」

    いずれも当然ながら常用(当用)漢字制定前の用例ですから、冒頭の文脈でいう代用がなされた結果ではありません。もちろん表意文字である漢字を用いる以上意味の合致する「高嶺」を用いることが望ましいにせよ、「高根」もまた日本語における漢字表記としては、誤用であるとはいえないというのが実態ということになるのでしょう。

    09/19/2007 (5:57 am)

    「怪物と戦う者は、自らも怪物とならぬように心せよ」by Friedrich Nietzsche

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    その後には、「汝が久しく深淵を見入るとき、深淵もまた汝を見入るのである」と続くわけですが。

    自民党衆議院議員の戸井田とおる氏ブログのコメント欄に、衝撃的な投稿がありました。書いた方は、水間政憲氏と名乗っています。第1回水間政憲氏 対談ページ 戸井田とおる 姫路衆議院議員という対談をされているので、戸井田氏とは親しい方のようです。

    内容は、次のようなものです。

    • 自民党総裁選挙の演説会等の反応は、マスコミの報道と違い麻生支持が強い(水間氏の印象)
    • 現場の報道関係者からも総裁選関連のニュース編集には偏りがあるという証言を得た
    • 自民党の派閥が福田氏支持に動いたのは、日テレの10日夜都内のホテルで開催された「太郎会」の報道がきっかけ
    • 「太郎会」の報道では、10日の時点で参加者全員が安倍辞任を知っていて陰謀を巡らせていたような印象操作がされている
    • しかし実際には鳩山邦夫氏等参加者はそのことを知らず、10夜の時点で安倍辞任を知っていて意図的な編集をしたのは日テレである

    「読売グループの総力あげて麻生を潰すとナベツネは言った」(@アンカテ(Uncategorizable Blog)9/18付)(webmaster注:強調はwebmasterによります。また、原文では、最初のリンクは強調部の始めからa要素になっています)

    読売グループの報道にバイアスがかかっているのではとのオルタナティヴにおいて、逆のバイアスがかかるようでは、その意義を著しく減殺してしまいます。さて、引用部において強調した戸井田議員、投稿者である水さんと親しいのではとの推測がなされていますが、実際に両者が親しいと仮定した場合、この戸井田=水ラインにバイアスがかかっているおそれはないと信じてよいのでしょうか?(9/21訂正)

    ■推薦人名簿(敬称略、○は推薦人代表)

    (略)

    ◆麻生陣営

    【津島派】○鳩山邦夫、馬渡龍治、戸井田徹、山口泰明【古賀派】菅義偉、今井宏【山崎派】甘利明、武田良太【伊吹派】中川昭一、西川京子、吉田六左エ門、鍵田忠兵衛、椎名一保【麻生派】鴻池祥肇【無派閥】島村宜伸、浜田靖一、永岡桂子、遠藤宣彦、坂井学、武藤容治

    毎日「自民「派閥談合型」の総裁選 福田、麻生氏が届け出」(webmaster注:強調はwebmasterによります)

    戸井田議員が麻生総裁候補の推薦人であることは、この文脈では併記されるべきだとwebmasterは考えます。

    09/05/2007 (10:52 pm)

    スキャンダル方程式

    Filed under: politics, media ::

     さて、閣僚における不祥事の発生率の要素を考えてみましょう。

     僕が思うに、次のようなものではないでしょうか:

     不祥事発生率=
    (1)事務方による「身体検査」の見過ごしやすさ
        ×
    (2)閣僚候補内で不祥事を抱えている人の比率
        ×
    (3)その他の理由

    ということは、不祥事発生率が極端に高まるためには上のうちのどれかが、いきなり高まる必要があります。

    (略)

     この二つが、いきなり大きく変わるとはあまり考えられません。 というのも、官邸周りの官僚の人事異動は、少しずつ入れ替わるようにして行われるはずですし、いきなり与党の政治家の構成が変わるわけでもないので。

     検証もしないでおいてなんですが、上の考えがある程度妥当性を持つのであれば、閣僚における不祥事の発生率というのは、ある程度一定率に保たれるはずです。

     しかし、現実にはそうなっていない。

     その理由は、何なのでしょうか。

    「閣僚の不祥事発生率を冷静に考える。」(@Taejunomics9/5付)(webmaster注:括弧付き数字は、原文では丸付き数字です)

    まず、「不祥事」の範囲が広がり、「与党の政治家の構成が変わ」らなくとも、不祥事認定される事象の割合が増えた=閣僚候補内で「不祥事」を抱えている人の比率が上昇した、ということが考えられるでしょう。昔ならばこんなことは問題視されなかった(少なくとも大臣が辞めるような話にはならなかった)、とはよく言われることです。

    「不祥事」の範囲が広がれば、当然ながらチェックすべき項目の数も増えますから、(1)についてもまた増加することとなるでしょう。「身体検査」の生産性を上げなければ、見過ごす確率は高くなってしまいます。

    (1)についてはさらに、派閥推薦を排していわゆる一本釣りを行うようになったことの影響もあるでしょう。クロスチェックをかければ見過ごす確率が減るのは一般的に妥当する話ですが、派閥とて推薦する以上、スキャンダルで内閣にダメージを与えてしまっては総理に借りを作ることになってしまいますから、派閥という人的つながりにおいて得られる情報(官邸とは別ソースになりますから、その意味でも有効なクロスチェックといえましょう)を用いて、ある程度のスクリーニングを行っていたものと考えられます。あるいは、「今度推薦するからきちんと身辺整理をしておけ」などと言ったりもしたでしょう。一本釣り組閣によって、これらが失われてしまったことは、少なからず影響を与えていることと推測されます。

    しかし何よりも影響が大きいのではとwebmasterが考えているのは、(3)に属するものとして、不祥事のニュースヴァリューの変化です。メディアとて商売ですから、視聴率なり部数なりにつながる報道をねらっています。そんな中で、安倍政権は「政治と金」の問題で色が付いてしまったため、従来であればベタ記事にしかならないようなネタ‐たとえば、少額の政治資金に関する記述漏れ・誤記載‐であっても、一面トップを飾れるような環境になってしまっているわけです。

    となれば、当然ながらメディアもそうした「不祥事」を探るためにより多くのリソースを投入するでしょうし、見つけた「不祥事」を最大限視聴率増・部数増等につなげられるよう、大々的に報道することとなります。内閣改造後の遠藤前農林水産大臣の問題にせよ、鴨下環境大臣の問題にせよ、公表資料の収集・分析によって得られる情報ですから、それこそアルバイトでも雇って人海戦術をかければ、いつかは見つかる類のネタです。かつて立花隆が田中金脈問題を追及した際には、登記簿という公表情報をしらみつぶしに当たることで真相に切り込んでいったわけですが、それと同じ(加えて、掘り下げははるかに楽な)作業が行われているのではないでしょうか。

    08/19/2007 (11:59 pm)

    24時間テレビとマラソン

    Filed under: entertainment, media ::

    観てもいないのに、という気はするのですが。

    795 名前: 会社員(catv?)[] 投稿日:2007/08/18(土) 13:13:23 ID:wzPqNX4Z0 BE:761634465-2BP(0)

    大体この恒例のマラソンって何の意味があるんだ?

    797 名前: ゴーストライター(アラバマ州)[] 投稿日:2007/08/18(土) 13:17:46 ID:VA1BB2OV0

    >>795
    1992年にマラソン開始してから視聴率が大幅UP
    その後もほぼ安定した数字を維持してる

    798 名前: 理系(関西地方)[] 投稿日:2007/08/18(土) 13:18:06 ID:FZdKEKrB0

    >>795
    「この人も勇気を出して頑張ってるんだから、自分も頑張ろう!」
    という、ものすごくクサいクサい展開を狙ってるだけ

    一生懸命生きる勇気
    元気を分け与える
    皆が一つになれる

    書いてて気持ち悪くなってきた・・・・

    欽ちゃん70キロマラソン「医学的に非常識」(( ;^ω^)<へいわぼけより)

    安定した数字を取れる、というのには、レス798のような話だけでもないような気がwebmasterにはします。おそらく、24時間という尺とマラソンというスポーツの相性のよさがあるのではないかと。

    24時間テレビの特性を考えるに、ずっと観続ける人はまずいない、ということは大きいでしょう。番組中に組み込まれたドラマなりヴァラエティなりのひとつ(ないし複数)のコーナーを観ようと思う人は少なからずいるとしても、24時間テレビとして通して観ようという人は少ないはずです。人間という生物の限界が当然ありますし(笑)、「24時間テレビ」と銘打つひとつの番組であっても、テーマや進行役が共通しているとはいえ、しょせんは本来別の番組として成立するものの寄せ集めに過ぎないからです。

    テレビ局側の思惑としては、たとえば18日21:30からのドラマを観た人のうち少しでも多くを、もう一度NTV系列のチャンネルに呼び戻したいわけです。となれば、ドラマで関心を途切れさせないためにも、番組を通じて進行するイヴェントを並行させ、そのイヴェントがどうなっているかと(それこそ他局の番組の切れ目にでも)気にしてもらうというのは、なかなかうまい手だということになるでしょう。

    その意味では、別にマラソンである必要はなく、24時間かけて完結するものであれば何でもいいわけです。何らかの作品を仕上げるとか、ちょうど一日の行程がはまる登山とか、ドミノを並べるとか、番組のイメージに直結させるなら募金集め行脚をさせるとか。しかし、マラソンならではの強みとは、走るという行為が極めてシンプルであることです。

    大多数の視聴者(といっても、番組の性質上日本人全体の比率よりは少ないかもしれませんが)にとって、走るとは何の説明もなく了解可能な行為で、観るだけで辛いと思ってくれるというのは、演出上極めて有利な話です。加えて、途中から観た人にとっても、わけがわからないとばかりに関心を向けてもらえない危険性は小さいでしょう‐何をやっているかは一目瞭然ですし、時間と距離を示せば進行度合いが直ちに伝えられるのですから。

    1992年のプロデューサがどこまでこうしたことを事前に見通していたのかはわかりません。でも、以上のように(「24時間テレビ」であることを前提にすれば)数字を稼いだということも自然に思えますし、以後継続しているのも当たり前ということになるのではないでしょうか。

    08/18/2007 (12:30 am)

    1ドル=12円(not112円)の超円高(笑)

    Filed under: economy, media ::

    07/24/2007 (6:44 pm)

    続・国鉄と社会保険庁に見る組合問題への対処の相違

    Filed under: politics, media ::

    一昨日のエントリにて、国鉄と社会保険庁の組合問題は表層的には似たものとして扱われることがあるものの、財界のニーズへの適合度から言えば差があり、財界のニーズに相対的に冷淡な安倍政権に対して財界は距離を置いているのでは、と書きましたが、それがマスメディアで裏付けられるという事態に(笑)。まず、国鉄と同様に扱われがちという点については、次の記事がありました。

    長年にわたる社会保険庁の杜撰な事務による年金記録の不備が露見し、国民の不安と憤慨が募っている。その有り様を見るにつけ、私自身が渦中に身を置いた国鉄の改革の時代のことが思い起こされる。1981年3月に臨時行政調査会(第二臨調)が発足して程なく、国鉄の現場におけるヤミ手当、ヤミ休暇など数々の悪慣行の実体が露わになり、世間を憤激させた。

    (略)

    国鉄と社会保険庁。これら病める組織に共通の病根は二つあると思う。その一つは職員の「親方日の丸意識」である。国民生活に必須の交通手段を預かっていた国鉄、国民の年金事務を管理する社会保険庁。いずれも決してなくすことの出来ない業務を担っている。だから「不沈鑑」であるという意識が蔓延しやすい。そしてもう一つは、賃金が人事院勧告(国鉄の場合は仲裁裁定)といった形で他律的に決定されるシステムとなっていることである。

    この二つを重ね合わせると、「職員に嫌われてまで職場管理に苦労することはない」という管理者と「どうせ給料は同じなら取り分は労働密度の緩和だ」という労働者が生まれてくる。そして労組の運動は、勤務の緩和、非効率を目標とするようになる。改革の第一歩はこの悪循環を断つことだ。国鉄の場合それが分割民営化だった。

    しかし両者には、見過ごすことの出来ない相違点もある。国鉄は曲がりなりにも企業体の体裁を整えていた。従って労働の非効率は、毎年度の決算で明確になる仕組みだった。営業収入の85%が人件費であるという最悪時の数値は、大手私鉄の平均35%程度という数値と比較して、言い逃れの出来ない労働非効率の証拠として公表されていた。

    (略)

    また国鉄の場合、規律の乱れは直ちに日々の列車運行の乱れという症状を発症し、利用者の批判を呼ぶ性格を持っていた。そして国鉄の職場管理が最悪の当時ですら、日本の国鉄は世界で最も安全・正確・安定的な運行を誇っていた。それは現場管理者たち(非組合員)、穏健な労組に加入している職員たち、それに非現業職員たち、合わせて10万人余りの人々が私生活を顧みず、列車運行を守っていたからである。第二臨調が発足したとき、国鉄の窮状を現場から訴え、国鉄改革の実現を求めたのは彼らだった。

    社会保険庁の腐敗、堕落は、列車の乱れとは違って、当事者さえ黙っていれば長期にわたって誰の目にも触れることがない。すなわち身を挺して国鉄輸送を守った筋も筋肉も、社会保険庁の場合、どこにも存在しないわけである。管理者ぐるみの底なしの腐敗堕落が進行するのはこの歯止めのなさから来る。年金記録の不備問題も、内部からの告発が発端と言われる。しかしその狙いは国鉄のときのように改革を求めるコアグループの叫びとは全く異なるのではないだろうか。

    それではなぜ今日になって内部告発が発生したのか。「日本年金機構法」が上程されたことにより、これまで腐乱の限りを放置してきた社会保険庁も、早晩その実情を天下に知られざるを得なくなったことが背景にあると思われる。いずれ露見するのならという訳で内部告発による攻勢防御に転じたのだろう。「改革の要請」としてではなく、「改革の向かい火」としての内部告発だと思わざるを得ない。

    読売「葛西敬之氏の地球を読む/年金記録問題/社保庁腐敗 国鉄を想起」

    ここまで結論先にありきな認識を持つ者が年金業務・社会保険庁監視等委員会の委員に選任されているのはいかがかなものかと思うわけですが(進駐軍のようであるらしいので、ある意味似つかわしいのかもしれません)、単に政府部門の組合だから問題だとの表層的な理解では、ここまでゆがんだ議論しかできないということをはしなくも表しているといえましょう。業務の必要性と人事院勧告が「病根」だというならば、それこそ国家公務員のすべてがそれに当てはまるわけで、国鉄や社会保険庁において問題が生じたことの検証としては、論理として粗雑に過ぎます。

    他方で相違点として葛西さんが論じているのは、「国鉄の窮状を現場から訴え、国鉄改革の実現を求めたのは彼ら」というのがまさに葛西さん自身を含む集団を指し、はっきりいえば己の功績を誇るものであるというバイアスがかかっているわけで、「社会保険庁の腐敗、堕落は、列車の乱れとは違って、当事者さえ黙っていれば長期にわたって誰の目にも触れることがない」とは不当な非難でしょう。裁定時に露見せざるを得ないのが記録の不備であり、それでも多数の者に対する裁定が最終的には正常になされてきたのは、もちろん社会保険庁の不備を補う社会保険労務士や企業の担当者、そしてなにより受給権者自身の働きが大きいわけですが、裁定という行為自体が突合せを内包し、国鉄で言えば「日々の列車運行の乱れという症状」に至る手前の段階であったとwebmasterは考えます。

    まして内部告発の原因が「攻勢防御」というのは陰謀論的過大評価もいいところで、それだけ悪知恵が回るならばこんな状態になる前にいくらでも手は打てたはず(笑)。どう考えても、デュルケームのいうアノミー、つまりは「人々の行動を規制していた社会的規範が失われて、混乱が支配的となっている社会の状態」に社会保険庁が陥っていると考えるのが自然であり、倒産寸前の会社では横領等が横行し、怪文書が乱れ飛ぶのと同じ現象ということでしょう。

    続いて、財界の姿勢を示すものとしては、次の記事がありました。

    参院選の投票日まであと6日。世論調査での「自民党劣勢」が伝えられているが、財界団体や主要企業は一部の例外を除いて今回の選挙はもっぱら静観の構え。日本経団連の御手洗冨士夫会長をはじめ財界には安倍晋三首相のシンパは少なくないが、ここにきて微妙な距離を置き始めているようにもみえる。

    (略)

    表向き、安倍政権と財界の関係は良好だ。今年4月の安倍首相の中東5カ国歴訪に、経団連は約180人の同行使節団を派遣。団長を務めた御手洗会長と首相の蜜月関係を内外に見せつけた。経済同友会の桜井正光代表幹事も参院選公示日の12日から長野県軽井沢町で開いた夏季セミナーで、安倍首相の行財政改革路線への支持を表明した。

    だが、水面下では現政権に対する温度差も目立つ。金融界では昨年末の「献金拒否事件」が今も話題になる。全国銀行協会の畔柳信雄会長(当時、三菱東京UFJ銀行頭取)が記者会見で自民党への政治献金再開に言及した同日、世論動向に配慮した安倍首相が大手銀行からの献金を辞退すると表明。根回しに動いていた経団連関係者はハシゴを外された形になった。

    「改革か、逆行か」は安倍首相のスローガンだが、その改革の先行きに懸念が広がっている。政府が先月決定した経済財政運営の指針「骨太方針2007」では選挙前を意識したのか、歳出削減への踏み込み不足が指摘された。経済同友会の夏季セミナーでは「骨太方針に物足りない部分もある」「構造改革への動きが止まるのではないか」といった発言も相次いだ。

    日経「経営の視点/参院選 遠巻きの経済界/「安倍改革」評価に温度差」

    財界にとって幸いなのは、安倍政権が国民的人気を勝ち得ているわけではない、ということでしょうか。だからこそ冷淡に接しても悪影響をそれほど心配する必要がないわけで、ポピュリズム政権が大企業に厳しい政策を実施するというのは少なからず見られることですので、国民的人気を勝ち得ている政権であれば、財界に冷淡であろうと積極的に懐柔を図っていく必要が出てくるわけですから・・・。

    07/19/2007 (11:03 pm)

    代替・・・え?

    Filed under: media ::

    一方、自動車メーカー各社は生産コストを抑えるため、車を組み立てる直前まで部品を導入せず、在庫を減らす工夫をこらしてきた。しかし、シール材やピストンリングは車両によって仕様が異なり、代替えが利きにくい。国内占有率の高さも相まって、メーカー各社がリケンに依存する構造になっており、リケンの操業停止が即、メーカーの生産停止につながってしまった。

    東京「在庫圧縮が裏目/自動車6社生産休止/基幹部品製造のリケン被災/効率化の”落とし穴”」(webmaster注:強調はwebmasterによります)

    一応、まったくの誤用というわけではなさそうですが、記者個人といわず、デスク・校正も通してしまうんですねぇ・・・。

    「だいたい(代替)」の重箱読み。
    「―バス」

    goo辞書「だいがえ ―がへ 0 【代替え】」

    06/02/2007 (2:27 pm)

    意外にまともな新聞の「消えた年金」報道

    Filed under: government, media, pension ::

    年金については(勝手にかつ一方的に)よくお世話になっている権丈先生のサイトより。

    さてさて本題――今回の年金騒動。民主党の仕掛け通りに、大いにもりあがったのはいいんだけど、どうも新聞の反応が悪い。テレビは、キャスターさんがみんなで眉間に皺よせて「国民の皆さん!こういう事態を絶対に許してはなりません(~_~メ) ピクピク」とやってくれているけど。いつものことながら、新聞ってのは、テレビよりはかなりIQが高いのか・・・?

    昨日の読売新聞の社説なんか、民主党にとって痛いところを突いている。

    (略)

    読売の社説は、今朝も、民主党の仕掛けに水をさすようなことを書いていた。

    (略)

    ところで昨日、社説ではないんだけど、そして読売ではないんだけど、なんとも今回の「宙に浮いた年金記録」について正確な記事があったので、それを学生さんたちにでも紹介しておこうかなというのが、今日の本題である。朝日新聞の「ニュースがわからん! 宙に浮いた年金記録 大丈夫?」。

    (略)

    さてさて、今朝あたりから、この問題に対して、各紙の若手記者たちは少しばかりスタンスを変えはじめてきたようにもみえる――気のせいか?

    勿凝学問80/この度の泡沫うたかたの年金騒動の持久力はどのくらい?――ガンバレ民主党、このままでは参院選までもたないよ――

    権丈先生が言及されている読売社説(5/31付6/1付)や朝日の記事のほか、6/1(朝刊)の報道としては、

    • 産経「あなたの年金 本当に大丈夫?」
    • 東京「スコープ/年金記録漏れ/1年で全件照合 困難」

    なども、無用に不安を煽り立てることなく‐もちろん、何が問題であるかについてはきちんと指摘していますが‐、不安のある人はどのようにすればよいのかを丁寧に解説する記事でした。これらを見るに、権丈先生がおっしゃる「各紙の若手記者たちは少しばかりスタンスを変えはじめてきたようにもみえる」というのは、気のせいではなく、それなりに勉強の成果が記事に反映してきているということでしょう。

    他方、テレビについてはそうしたことはあまり望めないわけですが、せめて5,000万人分の年金が満額支給されないかのようなフレーズだけはなんとかならないものでしょうか。約5,000万件とはあくまで基礎年金番号に統合されていない件数なのであって、基本的には重複しているものを重ね合わせていく作業ですから人数は必ずそれより少なくなりますし(基礎年金番号創設時には約3億件の年金番号があり、当時の年金番号保有者をラフに1億人とすれば、平均して1人につき3件の重複があることになります)、上記の読売社説(6/1付)によれば現実には3万人弱しかいない100歳以上の人の記録が、162万件もあるという部分すらあるわけです。重複が少なければ照合しやすく、未だに照合を経て統合されていないものは重複が多いものに偏しているであろうという常識的な仮定を置けば、平均を超えて人数は絞り込まれるものと考えられます。

    もちろん絞り込まれたところで膨大な件数であることに変わりはなく、社会保険庁を批判すべき状態にあることは当然ですが、実態に基づかない批判をしても仕方のない話ではあります。社会保険庁が自らどの程度の人数に及び得る話なのかを公表していないことにも問題はありますが、だからといって民主党の扇情的な言動に安易に加担するのもどうかと思うのです。少なくとも、新聞はそれなりに冷静な記事を書いているのですから。

    05/29/2007 (6:59 am)

    「慙愧に耐えない」byロイター

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    で、前のエントリの続きですが。

    [東京 28日 ロイター] 安倍晋三首相は28日、松岡利勝農相が死亡したことについて記者会見し、「大変残念。慙愧(ざんき)に耐えない。心よりご冥福をお祈りする」と述べた。「日本からのコメの輸出に道を開いてくれた。大変期待をしていたので大変残念。国会で厳しい追及もあったが、専門知識を生かせるということで頑張っていた」と最近の様子について述べた。

    日経ビジネスオンライン(ロイター)「後任農相は現段階で全く決めていない=安倍首相」

    言葉を飯の種にしているのですから、辞書ぐらい引こうよ・・・。

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