bewaad institute@kasumigaseki

  • archives by smart archives
  • 01/15/2008 (11:59 pm)

    マネーサプライ前年同月比の推移(2007-12現在)

    Filed under: economy, BOJ ::
     年月    M2+CD   前年同月比
    2005.01  6,998,252  1.97%
    2005.02  6,953,440  1.85%
    2005.03  6,999,008  2.07%
    2005.04  7,049,983  1.83%
    2005.05  7,037,424  1.46%
    2005.06  7,038,765  1.62%
    2005.07  7,085,130  1.66%
    2005.08  7,077,972  1.64%
    2005.09  7,076,717  2.00%
    2005.10  7,055,711  1.91%
    2005.11  7,071,911  2.10%
    2005.12  7,125,369  1.90%
    2006.01  7,123,681  1.79%
    2006.02  7,075,631  1.76%
    2006.03  7,103,323  1.49% #量的緩和解除
    2006.04  7,171,703  1.73%
    2006.05  7,130,540  1.32%
    2006.06  7,123,454  1.20%
    2006.07  7,123,733  0.54% #ゼロ金利解除
    2006.08  7,109,742  0.45%
    2006.09  7,119,253  0.60%
    2006.10  7,100,080  0.63%
    2006.11  7,119,883  0.68%
    2006.12  7,178,944  0.75%
    2007.01  7,192,128  0.96%
    2007.02  7,150,627  1.06% #利上げ(0.25%→0.5%)
    2007.03  7,178,824  1.06%
    2007.04  7,250,297  1.11%
    2007.05  7,233,933  1.46%
    2007.06  7,255,130  1.86%
    2007.07  7,268,632  2.05%
    2007.08  7,237,192  1.80%
    2007.09  7,241,613  1.73%
    2007.10  7,235,210  1.92%
    2007.11  7,260,911  2.00% (revised)
    2007.12  7,325,824  2.06%

    01/14/2008 (11:59 pm)

    犯罪件数は失業率でほとんど説明可能!

    Filed under: economics ::

    先日の「近道」の実例のような話ですが、mkusunokさんのご紹介です。

    できれば国際比較を、と勝手な要望を申し上げます>松尾先生。

    この分析についてのwebmasterの主観的解釈を述べておくなら、失業者が犯罪を起こすということではなく、失業率に代表される雇用の不安定化=将来に向かっての希望の喪失が犯罪を引き起こすきっかけになりやすい、ということでしょう。「倉廩実ちて則ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱を知る」と2600年以上昔に喝破した管仲のなんと偉大なることか(「管子」の文言のすべてが管仲のオリジナルではないにせよ)。

    なお、この分析では因果関係が証明されているわけではないことはきちんと断る必要があるにせよ、おそらくは因果関係があるだろうとwebmasterは思います。小野先生の(自発的失業者を除く)失業者はリソースの無駄使い極まりないとのご所説に加えての外部効果ということで、やっぱり失業率対策は大切だなぁと申しますか、フィリップスカーヴやらオークン法則やらを考えるとマイルドインフレ+安定的経済成長は大事だなぁと申しますか。

    01/13/2008 (11:59 pm)

    「総量規制」の経緯

    Filed under: policymaking, government, history ::

    昨日、CXにて放映された「バブルへGO!!」においては、いわゆる総量規制通達が重要な位置を占めていたわけですが、まあ××のために、というのはご愛嬌としても(ネタばれ防止のため伏字にしてます)、実際にどのような状況であのようなものが導入されたのか、当時のデータとしてネットで収集可能なものとして、国会会議録から集めてみました。国会会議録検索システムを使って探したので、検索語の不適切さ等からもっと的確な発言を探し漏らしている可能性はありますので、その点にはご留意をいただければ。

    まずは1990(平成2)年3月27日の通達発出前のものから。最初に土地関連融資の伸び率に着目した応答が行われたのは、1986年まで遡ります。

    ○刈田貞子君 それから、土地高騰を招いている原因として地上げ屋というような存在が強引な土地の買い占めを行っていくというような事柄もいろいろ出ておるようでございますけれども、その裏にやはり民間金融機関等の不動産業種への異常な貸し付けというのは、これは私、否めない事実なんですね。これも私は四月の、先ほどの申し上げました委員会におきまして御指摘申し上げておるわけです。マネーゲーム的に土地を一生懸命買い占めておると、これを今規制しておかないと大変ですよということを私は申し上げておりまして、当時日銀の調査で、私が調べたところでは不動産業者への貸付残高、たしか二三・一というふうに一月から二月の間のデータで御指摘申し上げた。一般企業への貸し付けは一〇・三なんです。それが二三・幾らだったわけ、それで私はこれは異常ですよと申し上げておいた。そしたらその後日銀の調査では四月―六月期で何と三一・一に上がってるでしょう、そうですね。そして七月―九月には三〇・九にはなっているけれども、私申し上げておいたとおりこれは四月に大蔵さんに依頼して指導してくれと銀行局さんに言ったんでしょう。だけどその指導が一向に功を奏してないわけですね。これは私はまことに遺憾な事情だと思う。大蔵省さん見えてますね、なぜこの効用が発揮できなかったんでしょう、通達の。

    ○説明員(中平幸典君) 金融機関の融資の問題でございますけれども、金融機関がどういうところに融資をするかという問題につきましては、基本的には各金融機関の自主的な判断に基づくものであるというふうに考えておりますけれども、金融機関は公共的な使命を有しておるわけでございまして、このことを十分に自覚をしてその融資に当たりまして社会的な批判を招くことがないように従来から私ども指導を行ってきているところでこざいます。ただいま先生の御指摘もございましたように、国土庁からの御要請もございまして本年の四月に金融機関に対して通達を発出いたしまして、投機的な土地取引を助長することのないように指導を行ったところでございます。

     ただいま先生御指摘のように金融機関の土地融資、特に今先生がおっしゃいましたのは不動産業向けの貸し出し残高の伸び率につきまして非常に高い伸び率ではないか、こういう御指摘でございます。先生の御指摘になりました数字にもございましたように、九月末のところで前年に比較をいたしまして三〇・九%伸びております。これは八月末の三四・一というのから比べますと若干数字は下がっておりますけれども、依然として高いということは御指摘のとおりでございます。

     今回の通達は、今申し上げましたとおり投機的な土地取引を助長するようなことのないように適切な対処をしてくださいと、こういうことでございまして、金融機関の土地関連融資その額そのものを抑制しようとするものではございません。土地に関連する金融機関の融資にも社会的に有用なものがあることが通例であることは御承知のとおりでございます。したがってその融資額が顕著に減少してないということをとって、直ちに通達の趣旨が生かされていないのだということにはならないと思いますけれども、いずれにいたしましても、最初に申し上げましたとおり金融機関の土地融資につきましては、今後とも国土庁等と緊密な連絡をとりまして通達の趣旨が徹底するように私どもとしても指導に努めてまいりたいというふうに考えております。

    参議院・決算委員会(1986年12月12日)(webmaster注:刈田貞子議員は、公明党(当時)所属です)

    ここでは、大蔵省(当時。以下同じ)の担当者は、「金融機関の土地関連融資その額そのものを抑制しようとするものではございません」としており、総量規制的な考えを採ってはいないことを明らかにしています。続いて、総量規制について直接の言及のあったものに進みます。時代は3年ほど下って1989年。

    ○粟屋委員 今、金融の引き締め問題について国土庁長官もお触れになりました。私は、この金融の引き締めを適期にきちんと行うことが地価高騰の抑制につながるのではないかと思っておるところでございます。

     昭和四十七、八年の異常な地価高騰の際も、銀行局長通達を四十八年に出しまして、土地関連融資の増勢、伸び率でございますけれども、これを総融資額の範囲内にとどめるという措置をとったわけでありまして、これが大きく効果を発揮しまして、潮の引くように地価鎮静に至ったのではないかなと思っておるわけであります。ただ、金融政策は土地ばかり見詰めておるわけにはいかないこともよく承知をしております。当時の好不況の問題もありましょうし、また金融政策独自のお考えもある。これは私もよく理解をできるわけでございますが、やはり時宜を得て的確にやっていただくこと、これは必要ではないかなと思っております。

     今般も銀行局長通達を三度にわたってお出しをいただいておるようでございまして、最初は、土地関連融資が社会的な批判を招かないように配慮をすべしということであったようでありますが、六十一年の十二月になると、投機的土地取引の融資については厳に慎むこと。また六十二年十月には、閣議決定の緊急土地対策要綱を受けて具体的な指示をされております。特に、監視区域内においては、勧告をしないという不勧告の通知があった場合あるいは一定期間内に判断が下されない、そういうような場合には融資をしてもいいがそれ以外は慎むとか、また、実需を対象として融資をすべきであって、融資対象土地の利用計画、建設計画をきちんと明らかにした上でやれ、こういうような通達もお出しになっているようであります。

     私は、そのときどきに適切な措置をおとりになったと思いますけれども、やはり上がり切ったところでそういう措置をとってもこれは余り効果が出ない、やはり上がらんとするときに、異常な事態となろうとするときにそれを事前にきちんとつかまえた上で、早期に的確にやっていただくことが必要ではないかと思っておるところでございます。大蔵省のおとりになった措置は私は評価いたしますけれども、今の私の見解につきまして大蔵大臣からお答えをいただければと思います。

    衆議院・予算委員会(1989年10月13日)(webmastr注:粟屋委員は、自民党所属の粟屋敏信議員)

    この「土地関連融資の増勢、伸び率でございますけれども、これを総融資額の範囲内にとどめるという措置」とは、後の総量規制の内容そのものですが、この発言からわかることは、

    • 総量規制は列島改造論による地価高騰時に講じられた措置であり、当時においてはその存在を記憶している人々が少なからずいた、
    • 総量規制に先立って大蔵省は重ねて土地関連融資抑制策を講じてきており、総量規制において急ブレーキを踏んだわけでは必ずしもない、

    ということでしょう。

    続いて、当時の大蔵省を巡る状況がもっともよく表れているいるとwebmasterが思うものを。結構長いのですが、お許しいただければ。

    ○村沢牧君 基本法には「土地は、投機的取引の対象とされてはならない。」、投機的取引の抑制を規定しています。

     今日まで異常な土地騰貴をもたらした元凶は投機的取引にあったことは国民だれしも知っておることです。投機的取引の背景には金融機関の不動産関連融資がある。銀行が地価の高騰を助長してきた面もある。日銀の澄田総裁は、かりそめにも金融機関の融資活動で土地の騰貴をもたらし、インフレ心理をあおったり、国民生活を不安定にさせてはならないと金融機関に警告を連発しておったのです。私も同感であります。大蔵省銀行局長の見解を求めます。

    ○政府委員(土田正顕君) 金融機関の土地関連融資につきましては、かねてから通達の発出、特別ヒアリングの実施等を通じまして、投機的土地取引等に係る融資を排除するように厳正に指導してまいったところでございます。

     その結果、金融機関の不動産向け融資の残高の伸び率は、特別ヒアリング実施後の六十二年度上半期以降基調として大幅に減少してきていると考えております。

     ただ近時、地方都市を中心に地価上昇が続いている状況にかんがみまして、国土庁のとられます措置と平仄を合わせ、大蔵省としても投機的土地取引等に係る融資を厳に排除するという従来の通達の趣旨をさらに徹底させるとともに、これは簡略にいたしますが、諸般のいろいろな措置を講じておるわけでございます。

     ただ、ここで一つ申し添えたいと存じますのは、不動産業向けの融資の数字などを私どもは参考にしているわけではございますけれども、土地関連融資のすべてが問題であるということではございませんので、住宅、民活関連、その他の内需に必要な資金、それの円滑な供給はこれは確保してまいる必要があるわけでございます。しかし他方、投機的な土地取引等に係る不適切な融資は、これは厳しく排除するという必要があるわけでございます。

     そこで、このようなところから見まして、なかなか特定の統計の数量のみをもって成績を評価するということは難しいわけでございまして、そこのところは私どもが従来からやっておりますようなきめの細かい特別ヒアリングとか金融検査とか、そういう個別のチェックが必要となるというふうに考えております。

     このような点に十分留意いたしまして、今後とも私ども一連の措置を通じまして、投機的土地取引等に係る融資が厳に排除されるように強力に指導してまいる所存でございます。

    ○村沢牧君 金融機関に対する大蔵省の指導については、もう何回もここでお聞きをいたしました。今局長からまた改めてお聞きをしたところでありますけれども、しかし大蔵省の担当課長は、本委員会で、銀行行政として考えられるあらゆる手段を尽くしているというふうに答弁をしておるのであります。局長、今までやってきた手段が、大蔵省としてはもうこれが最高のものだというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか。基本法が制定されることを契機にいたしまして、過剰な土地関連融資を抑制する政策を大蔵省ももっと強化すべきではないかと思いますが、どうですか。

    ○政府委員(土田正顕君) (略)

     そのような措置の前進を図っていきますのが現在のところでは最善の対応と考えております。

    ○村沢牧君 石井国土庁長官は、本委員会で我が党の山本理事の質問に対して、地価高騰の要因とされている金融機関の土地関連融資の拡大について、土地基本法の成立を前提に土地関連融資残高の多いところから銀行名を公表することが必要である。また、不適当な融資には罰則を含めた規定をつくってもよいではないか。こういう決意を込めた答弁をしておるのであります。

    (略)

    ○国務大臣(石井一君) 私は弁解をしたり弁護をしたりするつもりはございません。ただ、村沢先生、私は前回の答弁で、土地がこれ以上暴騰を続け、また不動産関連の融資がこれ以上額をどんどんとふやすというようなことになれば、公表もするべきであり罰則も加えるべきである、こういう趣旨の答弁をいたしたわけでございます。前段は一つあったということは事実でございますが、ところが新聞にも報道されました。大蔵省の方からもおたくの長官はあんまり元気よくやるなと言うて後ろからやってきたのも、私は直接聞いておりませんが、私のところへ来ておりませんけれども、事実でございます。

     しかし私は、なぜこの公表ができないのかという問題をも追及いたしたわけでございます。ただいま局長の答弁にもございましたが、中には適正な融資もある、不適正な融資もある。この区別も非常に難しい。また、額だけで順番を決めても、それを専門的にやっておる、そこに重点を置いておるバンクもあれば、そうでないものもある。そしてさらに、大手とか地方ぐらいまでは手が届くのですが、銀行局自体の届かぬところで一番反社会的行為が行われておる。このようないろいろ立場上の問題もあるようでございます。

     しかし私は、あの発言一言で、銀行に対しましても相当なアナウンス効果は出ておると思います。それに甘んじてはおりません。今後必要であれば大蔵大臣と直接直談判をいたしまして、銀行局長はこのように申しておりますが、さらに状態が悪くなれば当然やるべきであるし、銀行というのはやっぱり社会的信用ということを最も重視しておりますだけに、我々から見れば公表一回ぐらいですよ……

    参議院・土地問題等に関する特別委員会(1989年12月8日)(webmaster注:村沢牧議員は、日本社会党(当時)所属です)

    この応答からわかるのは、

    • 大蔵省は総量規制導入の約4ヶ月前であっても「現在のところでは最善の対応と考えております」と答弁しており、総量規制を含む新たな規制の導入には後ろ向きだったこと(国土庁の事務方に対して牽制するほどに)。
    • 他方で石井国土庁長官(当時。以下同じ)が個別銀行名の公表や罰則制定(!)といった新たな規制の導入の必要性を訴えていること。

    です。当時のマスメディアの論調の裏取りは困難ですが、急速な金利引上げを主導した三重野日銀総裁(当時)が「平成の鬼平」と誉めそやされたこと等に照らせば、石井国土庁長官の側に世論の支持があったことは想像に難くないでしょう。

    加えて、国務大臣である国土庁長官の発言がある以上、それに対してゼロ回答、というのは官僚としては採り難い選択肢です。というのも、もちろん他の大臣の発言を公式に蹴飛ばすには官僚の側も自分の大臣に上げる必要があるのですが、となれば大臣同士が意見を異にすることとなり、閣内不一致を引き起こしてしまうからです。閣内不一致となれば、大臣の辞職、ひいては内閣の信任問題にもつながりかねませんが、そのような事態の引き金を引く度胸は、官僚にはありません(例外的な者の存在の可能性は認めるにせよ)。

    結局のところ、芹沢局長=土田銀行局長(当時)が「バブルへGO!!」で描かれたような傲岸不遜な官僚であれば、むしろ世論や石井長官の意見にも背を向けて、我こそが正しいと総量規制を否定し続けることができたことでしょう。彼が世論を気にし、他の大臣の発言にも何らかの形で応えなければと考えるありがちな官僚だったからこそ、総量規制は導入されたのです。

    01/12/2008 (10:30 pm)

    「近道」の探し方

    Filed under: economics ::

    1ヶ月間だけ、思い切りがんばれば。より引用:

    • 現状を変える一発逆転があると思うかもしれないけど、どうやら近道はないみたいです。
    • 毎日少しずつ、少しずつ努力を積み重ねるしかない。まったく人生ってやつは。まったく。

    違うよ。全然違うよ。

    「現状を変える一発逆転」はいたるところにある。
    多くの人は、勇気がなかったり、ぼんやりと生きていたりするために、
    一発逆転のチャンスが目の前を通り過ぎるのを
    見過ごしてしまっているだけだ。

    むしろ、「近道を探す努力」こそが正しい努力であって、
    「近道や一発逆転を狙わないで地道な努力を積み重ねる」という姿勢が、
    自分と周囲を不幸にし、
    格差と貧困を生み出し、日本を衰退させてきた。

    それは、「ハゲタカ」というレッテルを貼られて悪者扱いされてきた人々が
    どのようにして人々に豊かさをもたらし、何十億ものお金を稼いでいるのかを見るとよく分かる。

    たとえば、3000万円の工作機械が故障したとする。
    仕組みが複雑すぎて、どこが故障したのか普通のエンジニアには分からない。
    だから直せない。だから、その工作機械はほとんど価値が無くなった。
    そこで、その工作機械の持ち主は、その工作機械を廃棄処分することにした。

    そこに、ハゲタカエンジニアがやってきて、その工作機械を30万円で買い取ってくれることになった。
    その機械の持ち主は、捨てようと思っていた機械を30万円で買い取ってもらったので、
    ハッピーな気分だった。

    ハゲタカエンジニアは、その工作機械の複雑怪奇な構造を理解できるだけの
    高度な知能と知識とセンスを持っていたので、どこが故障しているのかを5分で突き止め、
    5分で修理した。

    これによって、たった10分で、無価値なゴミでしかなかった壊れた工作機械が、
    3000万円の価値のある工作機械に生まれ変わった。
    時給1億8千万円分の仕事をしたことになる。
    これは詐欺でも錬金術でもない。純粋な価値創造労働だ。

    (略)

    その、分水嶺、運命の分かれ道を、意識を研ぎ澄まして見極める努力こそが、
    本当に効果的な努力なのではないだろうか。

    「「地道な努力」よりも、はるかに人生を好転させる努力の仕方」(@分裂勘違い君劇場1/11付)(webmaster注:強調は、原文ではフォント拡大です。また、注記は略しました)

    趣旨には大いに賛同する(ただし、日本経済の低迷の原因と捉える部分を除く)のですが、fromdusktildawnさんの「分水嶺、運命の分かれ道を、意識して研ぎ澄まして見極める努力」とは、そのタイトルの「人生を好転させる努力の仕方」からすると、若干不親切ではなかろうかと思います。どうすれば「意識を研ぎ澄まして見極める」ことができるのか不明ですし、その結果、自分がそうだと思った努力が本当にそうであるかどうかが判断できません。fromdusktildawnさんのおっしゃるような努力だと思っていたら実は違っていた、では、努力の為の努力にもなってしまいかねません。

    そこで、どのような努力で「近道」が探せるのか、webmasterが公開してみせましょう!

    まずは経済学の基礎的な概念を紐解きます‐完全競争市場においては、生産者の利潤はゼロ以下となります(ただし、機会費用は会計上費用にカウントされないので、会計上は利潤が生まれます)。では完全競争市場とは何かといえば、次のとおりです。

    完全競争市場は、(1)経済主体の多数性、(2)財の同質性、(3)情報の完全性、(4)企業の参入・退出の自由性という4つの条件を満たす。

    市場に多数の売り手と買い手が存在するという条件(1)と、財が同質で価格情報などが完全に知れ渡っている条件((2)、(3))下では、一企業のみが他よりも高い価格を付ければ、その企業の財はまったく売れなくなる。そこで企業は市場で決定された価格を与えられたものとして、つまりプライス・テイカ−として行動すれば、利潤の最大化をもたらす生産量を決定できる。これは売り手が多数おり、一企業の供給量は市場規模からすれば微少で価格などに影響を与えないからである。よって、一企業としては現行の価格より安く売る必要もない。これは図表に描かれたように、ある財に対する市場全体の需要曲線が右下がりであっても、一企業に対する需要曲線は水平になることを示している。

    第7回 市場メカニズムの効率性と限界(webmaster注:括弧つき数字は、原文では丸付き数字です)

    「完全競争市場においては、生産者の利潤はゼロ以下となります」という命題の対偶をとれば、「生産者の利潤がプラスであるならば、完全競争市場でない市場においてです」ということとなります。すなわち、上記引用の4条件のいずれかが満たされていない市場を見つけることができれば、大儲けができるわけです。「近道」とは、これに他なりません。

    (1)の経済主体の多数性が満たされていない市場とは、独占が典型例です。(4)の企業の参入・退出の自由性が満たされていない市場とは、銀行やテレビ局といった免許業種が典型例です。いずれにおいても、そこで働く人々の給与が高いことには、きちんとした理由があるわけですが、いかんせんこれらは個人の努力によって見出せる「近道」ではありません。

    個人の努力によって見つけられる「近道」とは、よって残る2つ、(2)の財の同質性が満たされていない市場か、(3)の情報の完全性が満たされていない市場です。(2)の財の同質性とは、buzzwordでいえばレッドオーシャンとかコモディティ化と言われるもので、誰からも同じものが買えるならば、他人と同じ価格でないと売れないということとなります。これを差別化して、他の人からは買えないようなものを売ることができれば、他の人よりも高い値段で似たようなものを売ることができます。わかりやすくはブランド商品で、たとえばエルメスのバーキンが数百万円で売れるのは、1万円のバッグより数百倍使えるからではなく、ひとえにエルメスのバーキンだからに他なりません。

    (3)の情報の完全性とは、fromdusktildawnさんが挙げた事例が当てはまります。誰もが修理方法を知っている(=情報が完全である)ならば、30万円で買って3,000万円で売ることは不可能ですが、「ハゲタカエンジニア」しか知らないからこそ、そのような芸当が可能になるのです。他に知る人がいないことをどのように見つけ、それをいかに商売につなげるかについては、イアン・エアーズ「その数学が戦略を決める」に豊富な実例がありますので、それを参考にしていただければ(野球好きな方なら、マイケル・ルイス「マネーボール」もお薦めです)。

    ただし注意が必要なのは、同書に紹介されている事例は既に他に知る人がいるものですし、同書で描かれた手法で他に知る人がいないことを見つけようとする努力は世界中で行われています。となれば、「近道」としては、同書(に限らず類書)にて紹介されていない新しい手法を見つけるか、それとも同じ手法で他人より早く新たな情報を発掘するのか、いずれかが必要となります。

    ま、楽してお金は稼げない、ということですね!

    01/11/2008 (11:59 pm)

    ずっと「改革」のターン

    Filed under: economy ::

     言い換えれば、主要な20市場を見た場合、前年比10%を上回る下落をしたのは、東京市場だけという体たらくなのだ。また、東京株式市場の動向をインターネットやBSのデジタルテレビに動画で配信しているストックボイスによると、昨年12月半ばまでの世界49市場の年初からの騰落率は、最下位がアイルランド(ダブリン)市場で、東京市場のパフォーマンスはそれに次いで48位だったという。

     こうした東京市場の低迷の背景には、「成長力の面で、新興国ばかりか、先進国にも続々と抜かれてきた現実がある」(米系証券会社エコノミスト)。内閣府が昨年末に公表した統計は、そのことを端的に表している。それによると、先進国クラブと呼ばれるOECD(経済開発協力機構)加盟国の中で、93年に2位の座にあった日本の1人当たりGDPが、06年には18位まで後退した。さらに言えば、2000年代に入ってからの日本の名目成長力は、平均して 0.3%程度。OECD加盟30ヵ国の平均(5.1%)と比べても低水準で、ダントツの最下位である。

    (略)

     国力を回復し、株式市場の低迷を脱却するために優先すべきは、農業、金融、流通、運輸、教育、医療といった、諸外国に比べて生産性や効率が悪いとされる分野の競争力の強化である。そのために、規制緩和や独立行政法人の民営化といった経済政策が重要なのは明らかだ。こうした分野は、公共事業予算の拡大などと違い、財政再建の足枷がない。

     ところが、福田政権は昨年暮れ、これらの施策でことごとく官僚に迎合してしまい、抜本策を講じられなかった。

     例えば、本コラムでも年末に指摘した独立行政法人改革。101の対象法人を16減らしたと町村長官らは胸を張ったが、実態は中小法人の統合という数合わせに過ぎず、独法が囲い込んでいる業務が民間に移管されたわけでないのは、すでにお伝えした通りである。

    東京市場の独り負けは国の無策が生んだ“官製暴落”(3/4)

     また、やはり、政府の規制改革会議(議長:草刈隆郎日本郵船会長)が年末に第2次答申をまとめた規制緩和でも、保険診療と保険外診療を併用する混合診療の全面解禁が見送られるなど、官僚の根強い抵抗にあって抜本策が実現しなかった。この責任も、福田康夫首相らの行政府の長としての指導力不足にあることは明らかなのである。

    東京市場の独り負けは国の無策が生んだ“官製暴落”(4/4)

    日本の長期低迷はTFP低下によるとの仮説に沿った論旨ですが、ミクロ的な資源配分が不適切であることへの対処ではなく、マクロの成長性改善としても有効であるのかを検証せずにこう言われましても、と反論せざるを得ません。引用文ではあたかも4.8%ポイントの差がTFPの差ないし実質GDP成長率の差に起因するように書かれていますが、対するにwebmasterはむしろデフレの問題であろうと考えるわけです。そのあたり、筆者が検証しないというのでしたらwebmasterが検証してみましょう。

    #TFPなり少子高齢化なりに長期低迷の原因を見出す分析であっても、それが4.8%ポイントにも上るというものはないような気もしますが。

    とりあえず、名目ではなく実質成長率で見てみれば、ソースとして国民経済統計サイトのデータを用いたため、OECD全加盟国ではなくデータがないスロヴァキアと2000・2001年の2年間しかデータがないルクセンブルクを除く28ヶ国ベースとなりますが、2000年から2005年までにおいては28ヶ国平均2.84%に対して日本は1.87%となりずいぶんと差が小さくなります。順位についても第20位で「ダントツの最下位」ではなくなります(日本より低いのは、イタリア、オーストリア、オランダ、スイス、デンマーク、ドイツ、ベルギー、ポルトガル。ちなみに最下位はイタリアの1.12%です)。

    #引用中の「平均」が何かは定かでありませんが、上記平均は各国については幾何平均、28ヶ国平均はその算術平均を用いています。仮に引用において各国について算術平均が用いられていたとしても、たとえば日本については算術平均が1.88%ですから、結果的には大差ないと思います。

    加えて、日本のGDPデフレータ(上記引用とwebmasterの計算の差分を用いれば約▲1.6%)がOECD平均のそれ(日本と同様に計算すれば2.3%)と同じであったと仮定して計算してみれば、日本の2000年代の平均名目成長率は4.2%程度であったということとなります。「規制緩和や独立行政法人の民営化といった経済政策」よりも、まずはデフレを脱却することが名目成長率の改善にとって「重要なのは明らか」でしょう。

    では、何ゆえにGDPデフレータが低いのでしょうか。当サイトのスタンスとしては当然日銀の金融政策が悪いからだということとなりますが、この国際比較を違った角度から見ることで、若干の裏づけをしてみたいと思います。先に日本よりも実質成長率が低かった国を8ヶ国掲げましたが、スイスとデンマーク以外の6ヶ国にはある共通点があります。それは何でしょうか? 加えて、日本のひとつ上の第19位フランスもそれに共通しているのですが、どうでしょうか?

    答えは、通貨がユーロである、ということです。デンマークもERM IIに組み込まれほぼユーロペッグなので同じだと考えてしまえば、なんとワースト10ヶ国中8ヶ国がユーロ圏諸国で占められているのです(ちなみに他のユーロ圏諸国については、アイルランドが第1位、ギリシアが第5位、スペインが第8位、フィンランドが第14位で、キプロス、マルタ、ルクセンブルク、スロヴェニアは統計に含まれていません)。

    これはユーロという統一通貨ゆえに、各国の実情に適していない金融政策が共通に適用されてしまっていることが寄与していることを窺わせます。サンプルが少なすぎるので眉唾前提で見ていただきたくはありますが、28ヶ国中のヨーロッパ諸国について、ユーロ圏諸国11ヶ国は平均2.46%・標準偏差1.52%ポイントである一方、非ユーロ圏諸国9ヶ国は平均2.86%・標準偏差1.02%ポイントであり、ユーロ圏諸国の方が平均が低くばらつきが大きいということとなります。デンマークをユーロ圏諸国としてカウントすればそれぞれ平均2.39%・標準偏差1.47%ポイントに対して平均3.01%・標準偏差0.99%ポイントとなり、その傾向はさらに際立ちます。

    こうした検証もなく、十年一日のごとく改革が足りないから成長できない、官僚が抵抗するから改革が実現できないとの安直な主張こそ、「改革」していただきたいと思うのはwebmasterだけでしょうか? いくら改革してもマクロ的な効果が出ないのは(改革にはそうした効果をもたらす機能がないからではないかと検証することもなく)改革が足らないからだ、とずっと「改革」のターンが続くのは勘弁していただきたいものです。

    最近では例の埋蔵金話のせいで、こうした主張がますます力を得ているようにwebmasterには見えるのですが、ここでも当然のように触れられています。

     加えて、有耶無耶に終わろうとしている埋蔵金論議(政府の特別会計の膨大な剰余金問題)も重要だ。本稿の執筆にあたって、改めて05年4月に経済財政諮問会議に提出された「各特別会計の改革案」を確認したところ、財務省所管の財政融資資金特別会計と外国為替資金特別会計の2つだけで、資産総額から負債総額を差し引いた剰余金が05年度末に34兆円弱も存在した。当時の試算では、これが09年度末には、50兆6000億円近くまで膨らむという。財政融資資金特別会計にも、外国為替資金特別会計にも、それなりのリスクがあり、一定の剰余金が必要ではあろうが、これほど巨額の剰余金が必要とは到底考えられない。

     ところが、政府・与党がまとめた来年度予算の政府案では、こうした埋蔵金が有効に活用されたとは言えない。その結果、小泉・安倍政権時代と比べても消極的な国債発行の圧縮策しか盛り込まれなかった。

     それどころか、政府・与党は、今年の総選挙を済ませたら、来年度に消費税を大増税しようという意図を露骨に見せている。安易な消費税増税は、格差に喘ぎ、低迷する個人消費を一段と冷え込ませ、瀕死の成長力をさらに損ねる施策なのに、その方向に舵を切ろうとしているのだ。

     30兆円、50兆円といった埋蔵金があれば、消費税増税どころか、石油税や法人税の引き下げといった景気にプラスで、国際競争力の向上にも役立つ諸施策がふんだんに可能なのに、政府・与党にはそうした政策を立案し、実行する力がない。

    東京市場の独り負けは国の無策が生んだ“官製暴落”(4/4)

    増税派にもまったく賛成はできませんが、埋蔵金が消費税増税の代替策以上のものであるという主張にもまったく賛成できません。仮に埋蔵金が50兆円だったとして、それを恒久減税の財源にする場合、最近の国債利率を1.5%として割引率に用いたときに毎年どれだけのキャッシュフローが50兆円の現在価値となるかを計算すれば、7,500億円となります。消費税増税派が増税が必要である理由のひとつとして持ち出す、基礎年金国庫負担の1/3から1/2への引上げには2兆円以上の財源が必要だとの主張の反論にはまったくなっていません‐税率の上げ幅の議論にはなり得ても、増税の必要性をかえって認めてしまうだけでしょう。

    #ちなみに割引率が5%だとキャッシュフローは年2.5兆円となりほぼ見合うわけですが、国債金利≒名目成長率だとすれば、それだけの割引率になるほどの名目成長を達成できていれば、そもそも増税論自体が説得力をなくしていることでしょう。

    そもそも埋蔵金を問題視することそのものにwebmasterは懐疑的ですが(真の財政事情=純債務で財政を見る場合には、まったく意味のない概念ですから)、それを受け入れたとしてもこの有様です。フローとストックの区別ぐらいつけて議論してほしいもので・・・。

    01/10/2008 (11:59 pm)

    捕鯨問題への対処に見る自己満足

    Filed under: politics ::

    11/20のエントリー(「[捕鯨問題がちょっと気になりました - Baatarismの溜息通信](http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20071120)」)で、オーストラリアで日本の調査捕鯨に対する反発が強まっていて、労働党は軍を派遣するという発言までしているという話を書きました。その後、日本側でもオーストラリアの状況に反発した人がいたのか、今度はYouTubeにオーストラリアの反発を批判する動画が投稿されました。これに対してオーストラリアでは、ネットユーザーのみならず、マスコミや政府まで批判発言をしているそうです。

    (略)

    この動画を見て思ったのは、使われている手法が、従来「嫌韓」や「嫌中」で使われていた手法に似ているなということです。相手を直接批判するのではなく、相手の主張の矛盾点や相手が嫌がる事実をことさらに取り上げて揶揄するというのは、日本のネットにおける「嫌韓」や「嫌中」でよく使われていた手法ですが、この動画も「人種差別」や「動物虐殺」といった、オーストラリア側の矛盾や嫌がる事実を強調しています。

    今後も日本のネットナショナリストは、他国で日本に対する理不尽な批判が行われたと感じたら、このような方法で相手を攻撃するのでしょうね。

    「日豪捕鯨対立がYouTubeに飛び火」(@Baatarismの溜息通信1/9付)

    タイトルの「自己満足」とは、批判するにしても真に有効な批判であるか、より一般化すれば批判することの影響を検討することなしに、自らの考えるところではこれは有効な批判であろうと思い込んでしまっていることを意味します。Baatarismさんはこの動画も「人種差別」や「動物虐殺」といった、オーストラリア側の矛盾や嫌がる事実を強調していますとされていますが、これって「矛盾や嫌がる事実」なのでしょうか? 言い換えれば、ここでいう「オーストラリア側」とは、誰を指しているのでしょうか?

    人種差別や動物虐殺が「矛盾や嫌がる事実」であるためには、それらを為す者が捕鯨に反対している必要があります。言行不一致、すなわち口では捕鯨という「動物虐殺」を非難しておきながら、自分がやっていることは日本人その他の有色人種差別で明らかに捕鯨反対が為にする議論であるとか、ディンゴやカンガルーに対する「動物虐殺」だという場合においては、それが批判として有効に機能するわけです。しかし、オーストラリア人という点で同じ属性だからといって、これらの者が重なるとは限りません。捕鯨反対派から、「ああ、あいつらもお前らと同じぐらい問題だね」と返されたらそれで終わりです。

    さらには、仮にオーストラリアがそれらにきちんと対処して、「自分たちは批判にきちんと応えた。次は日本が捕鯨を止める番だ」なんてことになったらどうするのでしょう? 論理的にはつながらないものの、政治的にはこう言われて捕鯨を止めなければ「人種差別」や「動物虐殺」を言挙げしたことは単なるごまかしないし嫌がらせだったとみなされてしまうでしょう。かといってこれで止めるぐらいならば、今まで言ってきたこと(日本の文化が云々とか、捕鯨を止めればかえって生態系が傷つく云々とか)は、これまた実が伴わなかったとみなされるわけで、にっちもさっちも行かない状況に追い込まれるのは日本の側です。

    #ま、そんなことをいう人間がYouTubeにいたからといって、それが日本を代表するものとは思われないでしょうけれども。だからこそ政府間交渉では、日本政府はこんな言い分を持ち出したりはしないのです。

    結局のところ、この批判は議論に勝つためのものとして練られてはおらず、単に批判的なことを言って憂さを晴らしたかったのだろうな、と。そうでないと言うのであれば、無能だとの評価に甘んじなければならないわけですし。

    01/09/2008 (4:23 am)

    御前会議の実情?

    Filed under: history ::

    昨年最後のエントリにおいて、安倍前総理について日本の総理大臣として、あのような辞め方は空前と書いたところ、

    辞める瞬間を言えばその通りである一方で、その直前からの過程を追えば、平沼騏一郎や近衛文麿が比肩しうるのではとも思うのですが、いかがでしょうか。

    とのコメントを宮嶋陽人さんからいただきました。奇しくも、第三次近衛内閣の辞任直前の状況について、次のような当を得たものと考えられるレスが2ちゃん軍板にてありましたので、紹介させていただきます。該当日とされる10/6に開催されたのは、陸海軍部局長会議であって御前会議ではないようにも思うのですが、それはさておき。

    939 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2008/01/07(月) 23:00:09 ID:???

    機密日誌とか資料を読んでてもそれぞれ滅茶苦茶で訳がわからん。纏めると大体こんな感じだな。

    [10月6日午前会議〜]

    東條陸相
    「外交交渉が必ず成功する確信があるなら戦争準備は止めても宜しい」
    (負け戦なんかやりたくねーんだよ。お前らが断言してくれりゃ辞めれるんだから言っちゃえよ)
    豊田外相
    「交渉の中心は支那撤兵問題である。これが解決するなら交渉は纏まるが陸軍の考えは如何」
    (おまえらが引くとさえ言ってくれりゃ戦争なんかすぐにでも収まるんだよ。邪魔してるのはお前らだ)
    東條陸相
    「総理は既に支那に対して無賠償、非併合を声明しているのだからせめて駐兵ぐらい当然である」
    (陸軍からハイソウデスと言えるわっきゃねーだろ。戦争すりゃ国が負けるだけだが、言えば『俺が』殺されるっつーの)
    陸軍武藤軍務局長
    「海軍は和戦について総理一任と言っているが、総理の裁断だけでは陸軍部内は抑えられない。然し海軍が戦争を欲せずと公式に陸軍にいってくれるなら陸軍としては部内を抑えやすいので、そう海軍側にし向けてほしい」
    (お前らが一言『アメリカ相手に戦争やっても勝てません』と言ってくれさえすれば、ビビリの東條でも陸軍を抑えられるんだから、ちったあ空気読め。このKY集団が)
    海軍岡軍務局長
    「海軍としては首相の裁断に一任というのが精一杯である」
    (そんなことを海軍から言い出せる筈ねーだろ。勝てない海軍には予算は不要であるって、財布握った小姑みたいな顔して東條が喜んで独り占めするに決まってるんだから。海軍が消えて陸軍と国だけ残っても意味ねーんだよ。ボケッ!)

    940 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2008/01/07(月) 23:04:12 ID:???

    >>939

    [続き]

    東條陸相
    「海軍大臣は戦争を欲しないようであるが、それなら何故自分にはっきり言ってくれないのか。海軍大臣からはっきり話があれば自分としても考えなければならない。しかるに海軍大臣は全責任を総理に負わせているが、これはまことに遺憾である。海軍の胆が決まらなければ9月6日の御前会議は根本的に覆るのだから、この際総辞職してもう一度案を練り直す以外ない!」
    (ごちゃごちゃ言っても最後に海軍はイモ引くつもりなら、支那で引く分をこのドサグサに陸軍の勢力を広げとくチャンスだな。だいたい俺は煮え切らん近衛が大嫌いなんだし、この際徹底的にイジメちゃる。どうせ責任取るのは俺じゃないしな)
    近衛首相
    「……諸君の意見は承った。ことここに至り統帥部との意見の相違は埋めがたく、内閣としては辞職を以って能力のある者に席を譲ることで責任を全うするしか道はない」
    (あーもー、なんで俺にばっかり振るんだよ。アメリカとの前に、陸軍と海軍との間で戦争を始めちゃってるじゃねーかよ! 俺はもうしらん)
    東条英機
    「(総辞職、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!)」
    天皇陛下
    「東條陸相においては首相を兼務し、9月6日の御前会議決定にとらわれることなく、内外の情勢をさらに広く深く検討し、慎重なる考研を加うることを要す」
    (そんなにごちゃごちゃいうならさ、東條、お前が首相もやって纏めろ)
    東条英機
    「(キター!って、俺にかよっ!)」

    で、gdgd。
    こりゃ、勝てんわ。

    「ハルノート受諾なら、日本はどうなっていたのか。2」スレ・レス943、944(webmaster注:dl要素を用いて整形してあります)

    01/08/2008 (11:59 pm)

    終身雇用等の幻想

    Filed under: economy ::

    狂童日記にて、

    1. 新富裕層(いわゆる「勝ち組」)
    2. 旧中間層(大企業・公的セクターの正規雇用者)
    3. 不安定低所得者層(非正規雇用者)
    4. 小規模自営層(読んで字のごとく)

    との階層を仮定した上で、次のようなご指摘がありました。

    ここ数年「格差社会」と言われてきたが、日本の圧倒的大多数は依然として(2)の層であることは強調しておく必要がある。(2)の層は学校を卒業すると「正社員」になって安定した給料を手にし、30歳くらいになればマイホームやマイカーを持つという「一億総中流」の人生経路をほとんど空気のように受け取ってきた。そのため、そうした安定した生活を成果主義的な「競争」の末に獲得しなければならないという現実の変化への適応に苦労を強いられている。既に定年を迎えた年金受給者も多く、生活水準が傾向的に低下し続けているので、現実の所得格差以上に「格差社会」の言説に強いリアリティを見出しやすくなっている。テレビやネットで目にする「ネットカフェ難民」「子供への殺人」のニュースに過剰に敏感になり、「ますます世の中が悪くなっている」と思い込みがちである。

    こうした不安感は(3)の多くを占めると思われる、「豊かで平等な日本社会」をやはり「空気」のように消費して子供時代を過ごしてきた、「団塊ジュニア」の世代にも違った形で継承されていると言えるだろう。ただそれに対する反応は大きく異なっている。社会の過剰な流動化に不安を感じる(2)に対して、(3)はむしろそういう流動性こそを潜在的に求めている。流動化による上昇を期待するのでは必ずしもなく、上の層がもっと下に落ちてくれば自らの社会的地位や向けられる視線が相対的にマシになるからである。これは社会保険庁の不祥事をめぐって、(2)が年金制度の持続を必死に求めるのに対して、(3)が年金制度そのものを不要と見なす気分が強まっていることを見れば明らかである。

    「現代日本の階層構造」(@狂童日報1/7付)

    しかし、「日本の圧倒的大多数は依然として(2)の層である」とは幻想であろう、さらにはかつてもそうではなかったとwebmasterは認識しています。たとえば千葉商科大学商経学部の伊藤公一教授の研究によれば、

    • 日本の労働者の約半数はバブル真っ只中の1990年においても(そして現在も)従業員99人以下の企業に雇用されており、
    • 中小企業では大企業に比べ勤続年数が短く中途採用中心の人事慣行が広くいきわたっていた、

    わけですから、被用者の約半数という少なからぬ集団は「(2)の層は学校を卒業すると「正社員」になって安定した給料を手にし、30歳くらいになればマイホームやマイカーを持つという「一億総中流」の人生経路」には乗っていなかったということになります。

    他方で「一億総中流」という概念が多くの者に受け入れられていたのもまた事実です。実際には格差があったにもかかわらず(年配の方々であれば、「二重構造」という言葉に思い当たる節がおありかと存じます)格差がないように受け止められていたのはなぜでしょうか。webmasterの管見では、将来の期待ゆえ、ということとなります。

    自身の給料を考えても、毎年5%ずつ上昇するならば、15年弱で2倍になります。20歳で就職して30歳で2倍に給料が増えたならば(年功序列でなくともスキルの習得等による増分がありますから、被用者所得が全体として5%=安定成長期の日本の名目GDP成長率にほぼ等しい割合で伸びていくにしても、各個人に着目すれば10年程度で倍になったと考えられます)、かつての自らとの対比で豊かになったと感じ、貧しいわけではない「中流」との意識を持つでしょう。さらには今後についても同様の期待を持つでしょうからなおさらです。

    加えて、世代間の対比もより以上に影響を与えることが考えられます。上記の一個人の事例と同様、経年上昇にて親よりも子が豊かであることが全体としては自然でした。さらに一般的傾向として戦後日本においては高学歴化が進み、すなわち中卒の親の子が高卒だったり、高卒の親の子が大卒だったりといった事例が多く見られました。これまた一般的傾向として、中卒よりは高卒が、高卒よりは大卒が生涯賃金が多くなるので、経年上昇分以上に子が豊かである傾向が強かったことでしょう。そして、子が豊かであるならば、自らもまた豊かになったような気になるのも人の常でしょう。

    以上を裏返せば、目先の給料がどうであるかよりも、自身の将来の給料や子の給料がどうなるかという見通しこそが、中流意識の醸成に影響力を有するものと考えられます。将来見通しが足元のトレンドに左右されるならば、これは現在の絶対水準よりもトレンドによって階層意識が定まる部分が多い、と言い換えられます。このwebmasterの推測が正しいのであれば、qushanxinさんの階層論については、

    • バブル期以前は上昇トレンドのため「中流」だと思っていた「不安定低所得者層」が、バブル崩壊以降の右肩下がりトレンドによって期待が持てなくなり、そうでないとの意識を抱き始めた、
    • 現在の絶対水準が悪いわけではない「旧中間層」においても、とりわけ子の就職難に直面した者を中心に、将来の期待が剥がれてより下の階層に転落するのではとの不安が広がっている、

    というように解することが適当であるように思われるのです。

    01/07/2008 (3:46 am)

    はてな別館をオープンしました。

    Filed under: notice ::

    毎度サーバが重くてご迷惑をおかけしております。このたび、対策のひとつとして、下記のとおりはてな別館をオープンいたしました。

    当サイトでWordpressに抛りこんでいるテキストをそのままはてなダイアリーにペイストしているだけで、はてな記法に則った記述にはなっておりませんので、きちんとしたHTML文書として整形されていない部分もあります。また、コメントやtrackbackは受け付けておらず、それらはあくまでこちらにお願いしたいと考えております。

    他方、はてなに間借りしているので、当サイトのように重くて困る、というようなことはありません。コメント等はするつもりはない、ということでしたら、はてな側をごらんいただいた方が便利ではないかと存じます。

    以上の性質の違いを踏まえ、ニーズにあわせて使い分けていただければ幸いです。

    01/06/2008 (11:59 pm)

    次期日銀総裁についての個人的予測

    Filed under: BOJ ::

    年も改まったところで、今年(少なくとも前半)の日本経済にとって最大の話題、日銀総裁人事について予測を書いてみたいと思います。

     次期総裁の有力候補は、元財務事務次官で日本銀行副総裁の武藤敏郎氏だ。福井総裁を支えてきた実績や安定感を評価する声は多い。

    (略)

     だが、参院第一党の民主党では「国債の利払いを減らすために金利を低く抑えるなど、財政政策に気兼ねする恐れがある」(同党関係者)と、元財務省トップの起用への反発は強い。03年には武藤氏の副総裁起用に対し、官僚OBであることなどを理由に反対した。

     同じ財務省OBでも、国際派の元財務官に対する見方は異なる。早大教授の榊原英資氏やアジア開発銀行総裁の黒田東彦氏については、民主にも「海外の金融当局と円滑に意思疎通できる」と評価する声がある。

     学者では、元日銀審議委員で東大教授の植田和男氏が「政策を評価すればピカイチ」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)と評価されている。デフレ経済の脱却に向け、金融市場に潤沢に資金を供給した量的緩和政策を理論面から支えた。

     同じ東大教授で、経済財政諮問会議の民間議員を務める伊藤隆敏氏の名前も挙がる。日銀に物価安定の目標を課すインフレ目標論者だ。

    (略)

     財界では、三菱東京UFJ銀行会長の三木繁光氏と、野村ホールディングス会長の氏家純一氏が取りざたされる。もっとも、2人とも金融政策へのスタンスは未知数だ。

     2代続けて総裁を出した日銀出身者では、理論派で国際的に知名度もある元副総裁の山口泰氏や、元日本長期信用銀行頭取でセブン銀行社長の安斎隆氏らの名前があがっている。

    朝日「日銀新総裁は誰に 財務省OB・学者・財界人・生え抜き」

     福井総裁の後任候補には、武藤氏のほか三木繁光・三菱東京UFJ銀行会長や氏家純一・野村ホールディングス会長、西室泰三・東京証券取引所グループ会長、伊藤隆敏・東大大学院教授らが取りざたされる。米景気後退の観測や原油価格の急騰など日本経済を取り巻く環境は厳しく、安定感のある武藤氏を起用したいのが政府・与党の本音と見られる。

    (略)

     焦点は、前回(03年)の日銀トップ人事で、官僚OBであることを理由に武藤氏の副総裁起用に反対した民主党の出方だ。若手議員には、元日銀審議委員の植田和男・東大大学院教授や山口泰(ゆたか)・前日銀副総裁を推す声があるほか、「官僚OBなら事務次官より国際金融に通じた財務官経験者の方が適任」との意見も漏れてくる。

    毎日「日銀総裁:3月任期切れ 本命は武藤副総裁 難航なら「空席」も」

    とまあ報道でも多くの名前が取りざたされていますが、間違いなく大本命は武藤副総裁でしょう。というのも、webmasterが知り合いの日銀関係者から聞く限りにおいて、武藤副総裁は日銀プロパー職員からも高い評価を受けていることが非常に大きいです。その意味としては、やはり現在の国会情勢に照らして、民主党が反対しない可能性が低いであろうということとなります。

    ここ数年、金融引締めを進める中で、日銀は何度か政府・与党と対立してきました。となれば、敵の敵は味方ということで、民主党からすれば政府・与党に迎合する者ではなく、これまで同様に政府・与党に時として反旗を翻す者が望ましいのです。日銀プロパー職員も支持する者とは、上記朝日の記事にいう「参院第一党の民主党では『国債の利払いを減らすために金利を低く抑えるなど、財政政策に気兼ねする恐れがある』(同党関係者)と、元財務省トップの起用への反発は強い」ことへのカウンターとなります。

    関連して、日銀プロパー職員(上記記事でいえば、山口前副総裁や安斎セブン銀行社長)の対抗馬がいなくなることも無視できないでしょう。武藤副総裁が「天下り」としてプロパー職員の反発を招いているなら、積極的に担ぎ出すのか消極的に反対しないのかはさておき、日銀プロパー職員を総裁候補にという選択肢も出てきますが、武藤副総裁をプロパー職員が支持している以上、仮に山口前副総裁らに出馬の声がかかったところで、本人が強く固辞するものと考えられます。

    以上から、武藤副総裁が官僚OBだからといって、彼が受け入れられざる場合に他の官僚OBが代わりとなるわけにはいかないこともおわかりいただけるでしょう。財務官経験者である榊原先生や黒田総裁を据えようとしても、日銀プロパーが「天下りだ」として反発すれば、仮に武藤副総裁を官僚OBだからという理由で忌避するなら、彼らもまた同様の理由で忌避されざるを得ません。武藤副総裁が5年かけて築き上げてきた日銀内の基盤を彼らが同様に持っているはずもないのは当然のこと、どころか、榊原先生におかれましてはその方言癖が、二代続けて方言癖のある総裁に悩まされ続けてきた日銀プロパーの神経を刺激するでしょうし、黒田総裁におかれましては非不胎化介入への肯定的評価が日銀プロパーとは相容れないのではないかと。

    学者の先生方については、植田先生は審議委員時代のスキャンダル騒動があるので、福井総裁の村上ファンド問題や本間先生の官舎問題で懲りている与党が推すことはないでしょう。伊藤先生は諮問会議の民間議員として現在政府の中枢にいるわけで、上述のように政府・与党とは一線を画している日銀を欲する民主党が賛成するとは思えません。加えて先生はインフレターゲティング積極論者ですから、日銀プロパーも反発するでしょうし。

    財界の方々は、日銀総裁というハイリスク・ローリターンな職務を引き受けるインセンティヴがないであろうことが最大の障害でしょう。

    « 前のページ次のページ »